津田研究室

岐阜大学 流域圏科学研究センター

ぎゃらり 75(2014年 小清水原生花園の野焼き)



 2014年は例年通り,4月下旬の平日の早朝5時過ぎから野焼きが実施されました.網走国定公園小清水原生花園風景回復対策協議会というものものしい名前の委員会があって,津田や北大のF先生は学識経験者としてそこに参加しています.小清水原生花園の中をJR北海道釧網本線が通っているため,列車の通過前に野焼きを終了しようと言うことで早朝に野焼きを実施しているのですが,以前より列車の本数がだいぶ減ったことと,早朝では燃料が夜露や霜で湿っていて燃えにくいことがあって,開始時刻を遅らせる提案書を2013年度に提出しました( pdfファイル ).しかしながらJR北海道はこれまでずっと不祥事続きだったため,「とにかく何か変更するのは困るから,開始時刻変更は認められない.」の一点張りです.こちらとしては,野焼き開始時刻を遅らせることで日射により燃料が乾くため, (1)煙の発生を抑制できる,(2)燃焼速度が速くなって交通への影響が出にくくなる,結果としてリスクを減らせると説明してきましたが,聞き入れられませんでした.結局,JR北海道側の「リスク」は「公共交通機関として定時運行ができなくなるリスク」ではなく,「何か変更したときの失敗を犯すリスク」だったのです.そう言うわけで,2014年は例年通り5時10分からの野焼きということになりました.この時間の野焼きだと野焼き従事者の現場集合は4時50分で,ぼくも含む主催側の関係者は3時過ぎに集合です.あまりの早朝なので睡眠不足による事故発生のリスクや,弁当も準備しなければならないため延期や中止になると準備した弁当が無駄になるリスクがあります.また,JRの保線区員が釧路から来るのですが,前日に来なければならないためのコスト,弁当を準備するコストなど,多くの無駄が出ます.JR北海道は何を考えているのかまったく理解できません.それでも来年こそは開始時刻を遅らせられるように努力を続けていきます.


 
燃料の乾燥
左:ステンレス製のバスケットに現場の燃料を丁寧に詰め,数日間放置した後に,朝4時30分から30分おきに重量を計測します.後日,燃料の乾燥重量を計測し,バスケットの重量とともに測定値から引くと水分量がわかります.(2014.4.20 S.Tsuda)
右:含水率変化のグラフです.青線は4月20日(1mm降雨の翌日),紫線は4月22日(降雨の3日後)の測定結果です.


  
開会セレモニー
野焼き開始に先立ち,北海道オホーツク振興局(網走支庁)の森田局長から挨拶があった.この日は総勢127人が参加した.
(2014.4.24 S.Tsuda)


  
火入れ開始
最初に火を入れる国道と釧網線の間(通称A地区)は夜明け直後に着火するので,いつも燃えが悪い.
(2014.4.24 S.Tsuda)



野焼き跡地
この冬は雪が多かったので,あちこちに残雪がある中の野焼きだった.
(2014.4.24 S.Tsuda)

 

 

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