「寒風山植物標本展」のご案内

 今年は大震災の影響で東北各地はたいへんなことになっています.地震や津波で家族・友人・知人を失ってしまった人,また大けがをおってしまった人,あるいは家財を失ってしまった人は言うまでもありませんが,原発の影響による風評被害や観光客の減少などの影響を受けている人も多くいると思います.ずっと東北にはお世話になってきたので,こんな時だからこそ少しでも還元したいという思いもあって,調査地に近い男鹿温泉でこれまで採りためた標本の展覧会を開くことにしました.ほとんど津田が個人的に企画したものですが,興味のある人は是非いらしてください.

 寒風山は東北日本に残された数少ない半自然草原のひとつで,絶滅危惧種もたくさん生息しています.このような貴重な自然が21世紀初頭に存在したことを証明するためには証拠となる標本を残しておくことが必要です.そこで,寒風山生態系研究会では2004年から半自然草原の維持や管理に関する研究を進めると同時に,植物採集をおこなってフロラ(植物相)の調査も進めてきました.集めた植物の標本は岐阜大学の植物標本庫に収蔵されています.同様に,多くの植物標本もたいていは大学や博物館の標本庫(収蔵庫)などに保管されているため,一部の研究者や専門家しか閲覧できません.そのため,地域住民や観光客などの一般の人の目に触れることはほとんどなく,植物標本がどんなものか知る人も少ないと思われます.寒風山(半自然草原とその放棄地のみ)でこれまでに採集できた植物はようやく250種を超えました.まだフロラとしては不完全ですが,これらの標本を地元の人に見てもらい,寒風山の半自然草原生態系の置かれている現状を理解してもらおうと,今回の標本展を企画しました.


「寒風山植物標本展」

日時: 2011年10月1日(土)から10月4日(火)まで (10時から16時まで)
会場: 男鹿温泉交流会館「五風」(秋田駅からJR男鹿線で羽立駅,そこから路線バス利用ですが,公共交通機関では少々不便な場所です)
主催: 寒風山生態系研究会(岐阜大の津田と元大学院生数人とで構成されている任意団体です)
後援: 男鹿温泉郷協同組合

※ 観覧希望の人は,9月中頃までに津田までご連絡いただければ,まとめて宿の確保をいたします.詳細は津田までお問い合わせください.



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