δ13C と Δ13C


 δ13Cは物質中の安定同位体比。
 Δ13Cは同位体分別。

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 物質中の同位体比を表す記号は「δ13C」。対象としている試料中の13C/12Cが、きめられた標準試料中の同位体比とくらべてどのくらいずれているのか、を表す。 単位は‰だ。式はここにはかかない。本を読め。

 δ13Cの値が小さいほど(生態系での炭素循環の文脈でこの数値がでてくるときは、たいてい負の値なので、ゼロから離れるほど)、その試料中の13Cの割合が低いということ。
 光合成による同位体分別が強く生じた場合には、結果として、その植物試料中のδ13Cはより小さな値になる。

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 植物が大気中のCO2を固定するとき、12Cのほうが13Cにくらべ、固定されやすい(軽い同位体の方が拡散が早いし反応性が高いから)。 このため、植物体内にとりこまれた炭素の安定同位対比は、_大気中の炭素の安定同位対比にくらべて_12Cが多く、13Cが少なくなる。 このようにして同位体比が変わることを、「植物の光合成による『同位体分別』」と呼ぶ。

 植物による同位体分別をあらわす記号が「Δ13C」。 単位は‰だ。 意味するところのわかりやすい式は、

Δ13C=(大気中の)δ13C - (試料中の)δ13C


 光合成の過程のどこで同位体分別が生じるかというと、2つある。 ひとつは気孔をとおっていく拡散の段階、もうひとつはRubisCO(CO2固定酵素)によるCO2固定の段階。これを近似式にしたファーカーの式があるけれど、ココには書かない。本を読んで。

 葉の中の細胞のすきまにCO2がたくさんあると、植物は酵素反応の段階で12Cと13Cの選り好みをしやすいので、同位体分別がつよくおこる。 気孔がとじるなどして葉内のCO2濃度が低くなると、酵素反応の段階で選り好みしてる場合じゃなくなるので同位体分別は小さくなる。

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「光と水と植物のかたち」(種生物学会編 2003)のp259からp270にわかりやすい解説がある。δ13Cを使ってなにがわかるか、ってことも書いてある。オススメ。

[追記](↑の翌日に書き足す)
 やっぱりわからん。
 同位体比を標準物質中の同位体比からのずれで示しているために、数学センスのあかん僕には数値のイミをばしっと理解することができない。これはまあ小さな問題。
 同位体分別Δ13Cについては、分別の何?速さ?大きさ?って言葉の意味もぼくはイメージしかねているのだけれど。式をみると、大気中のδ13Cと試料中のδ13Cの差ということは分かるが、つまりそれは同位体分別の作用のトータルな結果、どんだけ分別されたか、っていうことを示してるという理解でええんかな。なんか、Δの記号が速度をあらわしているような気になるのだけれど。うー。どろぬまにはいったよ。
 これらを理解できないと、いつまでたってもコンちゃんの研究内容に関して実のあるディスカッションができないので、なんとか理解したいのだけれど。僕の理解できる感覚をいまのところ超えている。


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