リモートセンシングとは
人工衛星や航空機からセンサと呼ばれる特殊なカメラで地表の様子を撮影して、得られた写真を解析して地表の様子を明らかにする技術です。当研究室では森林を中心に植生の情報を解析しています。
植生のリモートセンシングでは、地上調査などの植生の資料と衛星データや航空機データの明るさなどとの関係に基づいて、目的とする情報を広範囲にわたって解析します。解析にあたっては様々な環境情報を地理情報システム(GIS)上に整備して、補助情報として利用します。
衛星写真の例:
様々な解像度(地上分解能)のデータが撮られていて、解像度によって地表の見え方が大きく変わります。下の写真はデジカメと同じ原理で撮影されたデータで、解像度は30mです。現在では1mよりも細かい物体を識別できるセンサがあります。季節によって写真の色が違うことに注意して下さい。
図1 異なる4季節に観測された人工衛星データ
植物の明るさの特徴:
センサは人が見ることのできる光(可視光線)だけではなく、様々な波長の光を記録できます。葉の中のクロロフィルが可視光線を強く吸収します。赤色の光や赤色より少し波長の長い近赤外線が植物の解析によく使われます。土やアスファルトなどは光の波長が長くなるにつれて、徐々に急激に明るくなり(反射係数が大きくなり)ますが、緑色植物では赤(700nm)と近赤外(760nm)の間で急激に明るくなります。これが植物の波長別の明るさ(スペクトル)の特徴で、樹木でも草本でも同じです。
図2 樹木(ブナ)と土のスペクトルの比較
スペクトルは落葉広葉樹と常緑針葉樹ではかなり違いますが、常緑針葉樹どうし(例えばスギとヒノキ)、落葉広葉樹どうし(例えばブナとミズナラ)では似ています。スペクトルの違いに基づいて、衛星写真で森林のタイプ別の分布を判定します(分類)。分類のイメージは以下の図の通りです。
図3 衛星データによる森林タイプ・土地被覆の分類(概念)
下の図は図1のデータを同じ手順で分類した結果ですが、季節によって森林の分かれ方が随分違います。
図4 4季節の衛星データの分類結果