<研究の視点と目標>
「植生生理生態研究分野」では,(1)森林に住む植物がどのようにその形態(葉の形や方向,茎の伸ばし方)や生理(光合成や気孔開度の環境応答)を調節
して,時間や場所によって異なる光や温度などの環境条件に対応して生きているのだろうか? (2)こうした植物の光合成や蒸散,そして成長が,森林生態系
の構造や機能にどのように影響するのだろうか? (3)そして森林生態系の機能は,地球環境の変化によりどのような影響を受けるのか,または変化に対して
応答していくのだろうか? という問いをもちながら研究を進めています。
「生理生態学」は,生物個体や生態系の生態学的な現象を,生理学的な視点から理解しようとする分野を言います。また最近では地球規模での環境変動と生態
系の関係を理解し,予測する研究にも取り入れられています。植物や植生の光合成や蒸散などの地球環境との関係を考える場合には,太陽光や気温,湿度などの
環境条件に関する物理学的な理解も必要になってきます。
わたしたちは生活環境や地球環境に重要な役割を果たしている森林とそこの植物の環境応答メカニズムを研究することにより,現在見られる生態系がどのように成り立っているのか,今後の気候変動が生態系にどのような影響をもたらすのか,という課題に取り組んでいます。
<研究のキーワード>
- 植物の光合成に着目して,野外での「植物の振る舞い(生き方)」を理解する。
- 森の光合成(CO2吸収)と呼吸(CO2放出)の動態を観測とモデル解析で明らかにする。
- 森林の炭素吸収や水の利用と気象環境との関係を,光合成と蒸散から理解する。
- 植生の構造と機能(光合成)の時空間的な動態をリモートセンシングで測る。
- 森林の光合成と土壌呼吸に対する温暖化の影響を野外実験・リモセン観測・モデルにより探る。
<メンバー(2019年4月現在)>
- 村岡裕由(教授 個人のページ)
- 斎藤 琢(助教 個人のページ)
卒業生・OB/OG
- 玉置佳乃(応用生物科学部,平成23年3月卒業)
- 梁 配平(応用生物科学研究科,平成25年3月修了)
- 庄司千佳(応用生物科学部,平成25年3月卒業)
- 山田晃嗣(応用生物科学研究科2年生,平成26年3月修了)
- 栗林正俊(ポスドク研究員,九州大学へ異動)
- Noh NamJin(JSPS外国人特別研究員,ミシガン工科大学へ異動)
- 長尾彩加(応用生物科学研究科,平成28年3月修了)
- 大橋千遼(応用生物科学研究科,平成29年3月修了)
- Irina Melnicova(応用生物科学研究科,平成29年3月修了)
- 南野亮子(非常勤研究員)
<研究プロジェクト>
-
科学研究費補助金・基盤研究A
「森林生態系の炭素代謝プロセス動態の字空間的変動機構の統合的解明と温暖化影響予測」(平成26年4月〜平成30年3月)
- その他,複数の共同研究
<事業としては終了したプロジェクト(研究は継続中)>
-
最先端・次世代研究開発支援プログラム
「野外温暖化実験と衛星ー生理生態学統合研究による森林生態系機能の現状診断と変動予測」(平成23年2月〜平成26年3月)
- 岐阜大学21世紀COEプログラム
「衛星生態学創生拠点」(平成16〜20年度)web page
- 日本学術振興会・二国間交流事業(共同研究)
「山岳地形における物質循環機構解明のための生態系生態学的研究手法の構築」(平成19〜20年度)
(PI:岐阜大学,ドイツ国バイロイト大学Department of Plant Ecology)
- 日本学術振興会・日中韓フォーサイト事業
「東アジア陸上生態系炭素動態−気候変動の相互作用解明を目指した研究教育拠点の構築」(平成19年8月〜平成24年7月)
(PI:岐阜大学,北京大学,高麗大学)
web page
-
地球環境再生プログラム
中部山岳地域の環境変動の解明から環境資源再生をめざす大学間連携事業
<主な共同研究・関連コミュニティ>
このページについて
このウェブページでは,研究室の研究教育活動について紹介いたします。著作権は当研究室または研究メンバーに属します。研究成果等の図や写真,文章の転載および改変を加えた二次的利用は御遠慮ください。