前期 応用生物科学部(金曜・1限)
「生態系生態学」斎藤琢・大塚俊之

地球温暖化や生物多様性の問題で示されたように、人間活動が地球のバイオスフィア(生物圏)に大きな影響を与えていることが21世紀になって広く認識されるようになった。生態系生態学とはどのような学問であり、環境の時代と言われる21世紀においてどのような役割を担っているのだろうか。本講義では、地球上のシステムとしての生態系の構造と機能、及びその広域的な評価について解説して、生態系に関わる広域の環境問題の現状を理解するための基礎的な知識を身につける。

大塚担当分
  • 1 生態系生態学とは
  • 2 生態系を記述する
  • 3 生態系のNEPとは
  • 4 生態系遷移とNEP
  • 5 炭素のBiogeochemistry
  • 6 窒素の Biogeochemistry
  • 7 マングローブ林の物質循環



前期 森林生態学研究室合同ゼミ(曜日未定)
大塚研輪読(曜日未定)



後期 岐阜大学共通教育(月曜・1限)
生態学入門「森と人の生態学ー岐阜の植生から学ぶー」

生態学(エコロジー)という言葉は、環境に関する様々な活動に対して使われることが最近では多く、日常的な用語になってきました。しかしエコロジー(Ecology)というのは、本来は生物学の一分野であり、「生物の分布と量」を科学的に研究する学問です。高校の教科書ではこの分野は最後の方にあって、細胞の構造や機能といった分野と比較して生物学としてのエコロジーをきちんと理解している人は少ないように思います。岐阜県は、海こそないものの、金華山の照葉樹林、白山山麓の大白川ブナ原生林、御嶽の亜高山帯針葉樹林、乗鞍岳のハイマツ林やお花畑など、日本でも稀に見るほどの多様な生態系(特に森林)を持っています。これは、木曽三川の広がる濃尾平野から3,000 mを越す北アルプスまで、非常に多様な環境が存在するからです。また、これらの森は単純に環境に依存して成立するだけでなく、縄文時代以前からの多くの人間の影響を受けてきました。森という自然は人間社会の外に成立しているわけではなく、人間社会と密接に関係して成立し、維持されてきたのです。この講義では、岐阜県の植生の具体的な研究の紹介を通して、森と人との関係、生物学としての生態学の面白さを理解してもらう事を目指しています。


  • 1 多様性の生物学 「岐阜県にはどんな植生が存在するのだろう」
      Keywords; 生物種の分布と量、植生と群落とバイオーム、岐阜県内の4つのバイオーム
  • 2 生態学の研究の対象 「生物種の分布と量はどのように決まるのか」
      Keywords; トレードオフ、生理的最適域、究極(進化的)要因と至近要因
  • 3 環境条件と資源の不均質性 「なぜ、岐阜県の植物は1種類ではないのか」
      Keywords; 環境条件と資源、世界の気候帯と植生帯、4つのバイオームを構成する植物
  • 4 学内でのエクスカーション 「植物の形を理解する」
      様々な植物の生活形を構内で観察してみよう
  • 5 生物の分布を決める要因Ⅰ 環境条件 「なぜ、山を登ると植生は変化するのか」
      Keywords; 日本の垂直分布、温量指数、北限を決める要因、針葉樹の耐凍性、亜寒帯針葉樹林
  • 6 生物の分布を決める要因Ⅱ 他種との関係 「ブナは、平地では生育出来ない?」
      Keywords; 種間の相互作用、生態的ニッチ、種間競争、南限を決める要因、冷温帯落葉広葉樹林
  • 7 生物の分布を決める要因Ⅲ 植物の移動 「乗鞍岳のお花畑と北極圏の植生」
      Keywords; 寒帯草本植生と高山帯草本植生、氷河期と間氷期、日本の北極基地の話
  • 8 学内でのエクスカーション 「植物の葉の寿命を調べる」
       自分で観察して葉の寿命を計測してみよう。
  • 9 生態系とは何だろうか 「閉鎖型水槽と地球の話」
      Keywords; 物質循環とエネルギーの流れ、独立栄養生物と従属栄養生物、生食連鎖と腐食連鎖
  • 10 生態系の資源利用 「金華山の森では、多くの樹木が枯れている」
      Keywords; 環境収容力、個体群動態、自己間引き、暖温帯常緑広葉樹林
  • 11 人による森への影響Ⅰ 二次林と原生林の違い:森林生態系の構造と機能
      Keywords; バイオマス、総一次生産と純一次生産、土壌有機炭素、生態系純生産量
  • 12 人による森への影響Ⅱ 「縄文時代から森は重要な資源であった」
      Keywords; 人工林と二次林と原生林、撹乱と遷移、縄文人の森林利用、近代産業と森林資源
  • 13 人による森への影響Ⅲ「森林を放棄した現代 – これからの森はどうなるか?」
      Keywords; スギの拡大造林、スギ林の生態系純生産量 (NEP)、NEPと林齢効果
  • 14 人による森への影響Ⅳ ヒトによる窒素利用 「金華山の森には窒素肥料が降ってくる」
      Keywords; 窒素循環、酸性雨、窒素沈着、林内雨と樹幹流
  • 15 番外編: マングローブの世界  「海と陸の間にある生態系」
      



後期 森林生態学研究室合同ゼミ(曜日未定)
大塚研輪読(曜日未定)



前期
集中
応用生物科学研究科(前期・集中)
「生態系生態学特論」大塚俊之・村岡裕由

大気中の二酸化炭素を吸収する役割を持つ、森林生態系の機能を定量的に評価し、その変動の仕組みを理解することは、非常に重要な課題である。この授業では、陸上生態系の炭素循環と炭素吸収機能について講義し、野外でその測定方法について学ぶ。この授業は、野外での現地調査を含んだ集中形式の講義である。

To estimate carbon sequestration and year-to-year variability of net ecosystem production in terrestrial ecosystems are important. For this purpose, we study carbon cycling and sequestration in a terrestrial ecosystem in fields.
1.Global environment and biome distribution
2.Ecosystems and biogeochemical cycles
3.Global warming and the role of terrestrial ecosystems

Intensive classes including field survey of net primary production and net ecosystem production in terrestrial ecosystems staying in a field station.

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