津田研究室

岐阜大学 流域圏科学研究センター

ぎゃらり 25(小清水町民の森の枯死木の年輪調査)


枯死木伐採の様子
('09.08.26 Tsuda,S.)

立ち枯れていたミズナラの大木が数年前からあったのですが,散策する人の安全を考えて伐採することになりました.この大木にはファイアースカーとよばれる火傷の跡が残っていて,かつてここが山火事に遭遇したことがわかります.ファイアースカーについては津田研の「ぎゃらり6」にも出ていますので覗いてみてください.

枯れたミズナラの切り株
('09.08.26 Tsuda,S.)

枯れてから少々時間が経ってしまっていたので,ファイアースカーの焼けこげがうまく残らずにバラバラに崩れてしまいました.

切り倒したミズナラの年輪調査
('09.12.09 Tsuda,S.)

根元に近い部分はかなり腐朽が進んでいて,年輪がはっきりしなかったので,高さ2.9mのところで輪切りにした幹を使って年輪調査をおこないました.いつ枯れたのかがはっきりしませんでしたが,とりあえず2005年まで生きていたことにして,幹の外側から年輪を数えていきました.このミズナラが生えていた小清水町民の森はたぶん1911年に北海道内各地で発生した山火事(参照)で焼失した森のひとつだったと推定され,直径が50cm程度のシラカンバなどは火事以降に芽生えたもので,森の中に点在している巨大な(直径1mくらい)ミズナラは火事以前から生育していたものが火事の被災を免れて生き残ったものだと考えていました.実際に年輪を数えてみると,幹の中心部は1693年まで読み取ることができました.300年以上も前から生きていたことがわかりました.年輪を調べていて気づいたのですが,山火事に遭遇した1911年のあたり(写真では外よりの赤いピンの場所)のやや外側(1915年ころ)の年輪幅が数年間にわたり広くなっていました.山火事によって周辺の樹木が枯死したことで,生き残ったミズナラの成長がよくなったのかも知れません.


ぎゃらり 25

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