植物標本展「飛騨の植物」のご案内

 秋田県男鹿市の寒風山で津田研究室が山焼きの研究をスタートしてから,もうかれこれ10年以上が経過します.もともと火入れ後の植生や物質循環の変化について研究していたのですが,寒風山はその名のとおり天候が安定せず,たびたび山焼きが中止になっていました.あまりにも山焼きがおこなわれない年が多く,本来の研究が進まない状況だったため,ぼちぼちと植物採集を実施してきました.寒風山の調査エリア約200ヘクタールで250種類ほどの植物が確認された2011年に最初の標本展を開いたのですが,その後,同じ調査範囲で採集された植物が400種にせまるほどになりましたので,第二回の標本展を開くことにしました.

 寒風山は東北日本に残された数少ない半自然草原のひとつで,絶滅危惧種もたくさん生息しています.このような貴重な自然が21世紀初頭に存在したことを証明するためには証拠となる標本を残しておくことが必要です.そこで,寒風山生態系研究会では2004年から半自然草原の維持や管理に関する植生研究や炭素循環研究を進めると同時に,植物採集をおこなってフロラ(植物相)の調査も進めてきました.集めた植物標本は,ふだんは岐阜大学の植物標本庫に収蔵されています.多くの植物標本もたいていは大学や博物館の標本庫(収蔵庫)などに保管されているため,一部の研究者や専門家しか閲覧できません.そのため,地域住民や観光客などの一般の人の目に触れることはほとんどなく,植物標本がどんなものか知る人も少ないと思われます.まだフロラリストとしては不完全ですが,これらの標本を地元の人に見ていただき,寒風山の半自然草原生態系の置かれている状況を知っていただこうと,今回の標本展を企画しました.


「第二回寒風山植物標本展」
日時: 2016年12月2日(金)から12月4日(日)まで (開催時間は曜日によって異なるので下のチラシで確認してください)
会場: 男鹿温泉交流会館「五風」(秋田駅からJR男鹿線で羽立駅,そこから路線バス利用ですが,公共交通機関では少々不便な場所です)
主催: 寒風山生態系研究会(岐阜大の津田研究室と数人の元大学院生とで構成されている任意団体です)


※ 観覧希望の人は,11月25日くらいまでに津田までご連絡いただければ,あまり大勢でない限りまとめて宿の確保をいたします.詳細は津田までお問い合わせください.



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