蒜山高原


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■ 研究者

佐野淳之 (鳥取大学農学部フィールドサイエンスセンター)
米川修平 (鳥取大学農学部フィールドサイエンスセンター)(★このページの責任者)



■ 野焼きの歴史的背景や現在の野焼きの概要


 野焼きによって維持されている他地域の半自然草原と同様に,蒜山高原でも野焼き面積が減少する傾向にあります.原因はいろいろあるのですが,草原の利用価値がほとんどなくなってしまったことが一番大きな要因です.昔の農家は農作業用の牛馬を飼育していましたから,餌として草が必要だったし,茅葺きの屋根を葺くためにも建築資材としての草が必要でした.役用家畜がトラクターに代わり,茅葺き屋根はトタン屋根に代わってしまったため,草原を維持しておく意味が薄れてしまいました.それでも蒜山高原の草原は近隣農家の入会地になっているため,入会権を保持しておくために野焼きが続いてきましたが,それも過疎と高齢化で野焼きを続けることが難しくなってきています.そのため,放棄された草原が森林化している場所があちこちにみられ,鳥取大学農学部フィールドサイエンスセンター「蒜山の森」に隣接する場所( → 写真)も,放棄された年代ごとにサイズの違う森林が発達しています.


■ 研究の概要




■ すでに発表された研究成果

学会誌など論文調の印刷物として発表されているもの(詳細が知りたい方はそれぞれの雑誌等にあたってください)

佐野淳之. 2003. 鳥取大学蒜山演習林の広葉樹林生態系―広葉樹林の動態解明と二次林の生態系管理に向けて−. 林業技術, 738: 22-23.

佐野淳之・大塚次郎. 1998. 鳥取大学蒜山演習林における落葉性広葉樹二次林の樹種構成と種多様性―撹乱履歴の異なる2つのサイトの比較―. 鳥取大学農学部演習林研究報告, 25: 1-10.

佐野淳之. 1998. 二次林の景観と構造に与える攪乱履歴の影響. 国際景観生態学会日本支部会報, 4: 41-42.

Junji Sano. 1997. Species diversity in secondary forests in relation to disturbance regime. The current topics of agricultural research in Japan and Korea, 8: 12-15.


書籍,報告書などの論文調ではない印刷物(詳細が知りたい方はそれぞれの印刷物にあたってください)

佐野淳之. 2006. 大山・蒜山の森林に与えた過去の人間活動の影響. 国立公園, 646:16-19.

佐野淳之. 2006. 植生遷移と更新動態の解析. 森林フィールドサイエンス(全国大学演習林協議会編), 91-95.

佐野淳之. 2005. 落葉広葉樹林の構造と更新―撹乱に依存した森林の成立―. 森林の科学(中村太・小池孝良編),36-37.


学会の大会等で発表されたものの要旨など

日本生態学会第57回大会(東京, 2010)
増井太樹・佐野淳之 「火入れ地における希少植物の生育環境」  

日本生態学会第57回大会(東京, 2010)
米川修平・佐野淳之 「火入れ地における炭素の蓄積過程と分布様式」  

植生学会第14回大会(鳥取, 2009)
増井太樹・佐野淳之 「蒜山地域の火入れ地における地形と植生の対応」  

日本生態学会第56回大会(盛岡, 2009)
増井太樹・佐野淳之 「火入れ地における微地形と植生の分布」  

日本生態学会第54回大会(松山, 2007)
菅原敬・佐野淳之 「火入れ地における燃焼温度と地形が植生分布に与える影響」  → 要旨 はこちらへ

日本生態学会第53回大会(新潟, 2006)
菅原敬・佐野淳之 「火入れ跡地におけるブナ科樹種の遷移過程」  → 要旨 はこちらへ

日本生態学会中国四国支部第50回大会(松山, 2006)
長谷川誠・佐野淳之 「岡山県蒜山地域における土地利用の変遷」  

日本生態学会中国四国支部第47回大会(  , 2003)
田中哲弥・佐野淳之 「コナラ属堅果に対するネズミの嗜好性」  

Integration of silviculture and genetics in creating and sustaining of oak forests, Joint meeting of IUFRO working groups, Genetics of Quercus & Improvement and Silviculture of Oaks (Tsukuba, 2003)
Junji Sano "Regeneration patterns of Quercus species in the Far East Asia. "

日本生態学会第47回大会(広島, 2000)
小崎美穂・佐野淳之 「火入れを受けたカシワ林の年輪解析による樹齢構造と成立過程」  

The 5th Eastern U.S. Old-Growth Forest Conference (Duluth, 1999)
Junji SANO "Forest structure and species diversity after different disturbance events in deciduous broad-leaved forests in Japan."


卒業論文・修士論文

増井太樹(2010修論) 「火入れ地における植生と希少植物の分布に与える地形の影響」

菅原 敬(2008修論) 「攪乱に対する植物の適応―長期的かつ連続的な火入れの放棄後における初期遷移に関する研究」

田中哲弥(2004修論) 「蒜山地域における人為的撹乱後の広葉樹二次林の動態−ネズミの堅果に対する嗜好性と樹木の更新との関係−」

大棚厚子(2008卒論) 「火入れ後の二次遷移に伴う直翅目昆虫群集の変化」

増井太樹(2008卒論) 「蒜山地域の火入れ地における植生と微地形の対応」

長谷川誠(2007卒論) 「火入れ跡地における二次林の動態」

菅原 敬(2006卒論) 「火入れ跡地におけるブナ科樹種の遷移過程」

石橋真由香(2004卒論) 「斜面方位が蒜山地域の二次林に及ぼす影響−南北斜面における種組成と環境条件の違い−」

岩本敦子(2004卒論) 「火入れ後のコナラ二次林の成立過程−葉形質と分布からみたコナラの拡大様式−」

池田 恵(2003卒論) 「蒜山演習林における落葉性広葉樹二次林の成立過程−撹乱が二次林の成立に与えた影響−」

千間博美(2000卒論) 「蒜山地域における土地利用形態の違いが広葉樹林の分布と林分構造に与える影響」

小崎美穂(2000卒論) 「蒜山地域における落葉性広葉樹二次林の動態に関する研究−人為的攪乱を受けたカシワ林の林分構造と成立過程−」



■ 最近のトピックなど

●2009.5.22.掲載 2009年の野焼きは4月12日に予定どおり実施されました.今年はかなり入念に防火帯が切ってあり,とても上手に燃えました.その時の写真は津田研ギャラリーに掲載されています.(→写真)

●2009.3.6.掲載 2009年の野焼きは4月12日に実施する予定とのことです.

●2008.4.15.掲載 2008年の蒜山野焼き(チーム鳥取大学)は,岡山大学,岐阜大学,京都府立大学,総合地球環境学研究所,大阪市立自然史博物館,森林総合研究所関西支所などから見物や手伝いに来た研究者も参加して,予定どおり4月12日に実施された.その時の写真は津田研のギャラリーに掲載されています.(→写真)野焼き実施の最中には,テンピラック(高温融解性の塗料)や小型自記温度計による温度測定などがおこなわれた.

●2007.5.10.掲載 2007年の野焼きは4月8日に予定されていたが天候が悪く4月14日に延期された.当日は午前中に延助(のぶすけ)地区の野焼きがおこなわれ,午後から鳥取大学の研究者による野焼きがおこなわれた.午前中に別の野焼きから山林への延焼があり,予定よりも2時間ほど遅れての開始となった.




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