小清水原生花園


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■ 研究者

冨士田裕子(北海道大学植物園)

津田 智 (岐阜大学流域圏科学研究センター) (★このページの責任者) (→津田研究室のホームページ)

安島美穂 (主婦)




■ 野焼きの背景

国定公園指定の頃の原生花園

自然再生に取り組む必要が出てきた頃の原生花園

自然の再生を目指す

「野焼きの背景」→ 詳細 はこちらへ



■ 研究の概要

小面積の火入れ実験

野焼き事業

火入れ時の温度測定(担当:津田)

燃料・リターの蓄積(担当:津田)

火入れ後の地温の変化(担当:冨士田)

野焼き後の植生の構造(担当:津田)

火入れと放牧による植生の変化(担当:安島)

ネナシカズラ種子の発芽特性(担当:冨士田)

埋土種子集団(担当:安島)

小面積の火入れ実験(牧場)(担当:津田)

「研究の概要」の→ 詳細 はこちらへ



■ 2008年版 小清水原生花園生態系管理マニュアル   pdfファイル はこちらへ

 冨士田,津田,安島の研究者サイドでは,だいぶ前から小清水原生花園の管理について,場所や方法をきちんと制限した方がいいのではないかという議論がありました.観光客が最も多く訪れる天覧ヶ丘付近では,エゾスカシユリの害虫駆除ということで薬剤散布がおこなわれていますし,外来種ではないにも関わらずオオヨモギやネナシカズラの駆除がおこなわれています.生態学的には「どちらかと言えばお奨めできない」事業が,なし崩し的に原生花園全体に拡大していくことを危惧していたわけです.1993年に野焼きが事業化されてから15年が経過した2007年に,津田が中心になって冨士田,安島と連絡を取りながらマニュアルのたたき台をつくりました.その後,北海道網走支庁の間所氏と小清水町の安達氏と検討を重ね,2008年3月に最終案が小清水原生花園風景回復対策協議会に提案され,承認されました.
 生態学者としてはあまりお奨めできない事業だとしても,花の咲かない原生花園では観光産業が成り立たないため,マニュアルでは観光の目玉となる天覧ヶ丘付近などの狭い範囲では薬剤散布や雑草抜きができるようにしてあります.マニュアル化することを最優先にしてあったため,「これまでおこなってきた事業は引き続きおこなえるようにしてあります.」ということを強調して風景回復対策協議会から承認を得たという経緯です.
 なおこのマニュアルは,どなたでもご覧いただけますし,草原の自然再生を目指している方はどなたでも参考にしていただいて結構ですが,著作権は風景回復対策協議会に帰属していますので,転載などを希望される方は網走支庁環境生活課にご連絡ください.無断で印刷物にしたり,他のホームページに転載したりすることはご遠慮ください.



■ すでに発表された研究成果

書籍や学会誌などの印刷物として発表されているもの(詳細が知りたい方はそれぞれの雑誌等にあたるか,津田まで別刷りの請求をしてください)

Ajima,M., Tsuda,S.& Fujita,H. 1998. Vegetation change after burning and grazing on the coastal grassland in Koshimizu, Hokkaido, Northern Japan. Vegetation Science,15:61-64.

津田智, 冨士田裕子, 西坂公仁子. 1999. 北海道小清水原生花園における火入れ後のハマナス(Rosa rugosa Thunb.)の生長と開花. 横浜国立大学教育人間科学部附属理科教育実習施設研究報告,12:113-121.

津田智, 冨士田裕子, 安島美穂, 西坂公仁子, 辻井達一. 2002. 小清水原生花園における海岸草原植生復元のとりくみ. 日本草地学会誌,48:283-289.

冨士田裕子, 津田智. 2005. 海岸草原植生の復元・管理. 「植生管理学(福嶋司編)」,94-99.

論文調ではない印刷物や報告書など(詳細が知りたい方はそれぞれの印刷物にあたってください)

津田智. 2001. 植生管理の手法としての火入れ. 環境技術,30:42-45.

冨士田裕子. 2002. 海岸のお花畑「原生花園」 自然と人間がバランスをとりあって管理していた草原. モーリー,2002(6):12-16.

津田智. 2005. ファイアーエコロジー(火生態学)と植生管理. 国立公園,638: 8-11.

津田智. 2009. 火入れによって草原生態系を保全する. 講演記録集「第1集自然・生態編」(軽井沢サクラソウ会議編): 29-46.  → 講演記録(pdf)

津田智,冨士田裕子,西廣美穂. 2009. 小清水原生花園の自然再生における順応的管理. 植生情報,13: 42-46.

学会の大会等で発表されたもの

日本生態学会第44回大会(札幌, 1997)
 「小清水原生花園における植生の保全に関する研究 V ネナシカズラの発芽特性」  → 要旨 はこちらへ

日本生態学会第45回大会 (京都, 1998)
 「小清水原生花園における植生の保全に関する研究 VI 埋土種子集団の組成と構造」  → 要旨 はこちらへ

日本生態学会第46回大会(松本,1999)
 「小清水原生花園における植生の保全に関する研究 VII 火入れ後のハマナスの生長と開花」  → 要旨 はこちらへ

植生学会第5回大会(高知, 2000)
 「小清水原生花園における耕し処理による植生の変化」 → 要旨 はこちらへ

日本生態学会中部地区講演会(岐阜,2004)
 「草原の火入れと植生」  → 要旨 はこちらへ

日本生態学会第54回大会(松山,2007)
 「小清水原生花園自然再生事業」 (自由集会:地域生態系の保全・再生に関する合意形成とそれを支えるモニタリング技術の開発)

第1回日本生態学自然再生講習会「あたなにもできる自然再生:生態学の視点から」(東京,2009)
 「小清水原生花園の風景回復事業について」



■ 最近のトピックなど

●2013.12.〇.掲載 12月〇日に原生花園の野焼き開始時刻を遅らせる提案を,網走国定公園小清水原生花園風景回復対策協議会に同委員会の学識経験者として津田と冨士田連名による提案書という形で提出した.提案書の pdfファイルはこちらへ

●2009.12.15.掲載 12月10日に今年度の風景回復対策協議会が開かれ,来年の野焼きが2010年4月22日(予備日検討中)に実施されることが決まりました.2008年の野焼きが天候不良のために中止になってしまったことの反省から,予備日の設定を変更する方向で検討しています.2月に開催予定の次回協議会で決まる見込みです. 

●2008.12.19.掲載 12月11日に今年度の風景回復対策協議会が開かれ,来年の野焼きが2009年4月22日(予備日4月24日)に実施されることが決まりました.それから,協議会後に網走支庁の担当者にマニュアル公開の許可をもらいました.  pdfファイルはこちらへ

●2008.5.1.掲載 今年の原生花園の野焼きは4月23日に予定どおり実施されました.例年どおり,始発列車の運行前には焼き終わりました.その時の写真は津田研のギャラリーに掲載されています.(→写真)

●2008.4.2.掲載 津田・冨士田・安島の研究チームが発案した管理マニュアル作りが去年の秋頃からスタートしていましたが,小清水原生花園風景回復対策協議会での度重なる審議を経て,ようやく4月1日に発効することになりました.生態学的には多少問題のある管理方法が含まれていますが,とりあえずマニュアル化されたことで原生花園の管理がどのように進められているかがわかるようになります.まだどこにも公開されているわけではありませんが,近いうちに公開の可否を協議会に諮りたいと思っています.

●2008.4.2.掲載 2008年度の野焼きは4月23日に実施されることになりました.また,予備日は2日後の4月25日です.

●2007.5.7.掲載 小清水原生花園の野焼きは予定通り4月25日の早朝5時から実施されました.今年は南よりの強風が吹いていたため霜や夜露がなく,非常によく燃えました.燃えすぎて釧網線の枕木数本に飛び火してしまいましたが,ジェットシューターを背負った「消火班」や「JR保線区員」の皆さんの迅速な対応により,重大事にはいたりませんでした.

●2007.5.7.掲載 実験野焼きも事業野焼きが終了した後ただちに実施されました.牧場側の湿地では地下水位が高く,リターも湿っているためにあまりよく焼けませんでした.去年の実験でもあまりよく焼けなかったので,今年の11月頃(?)には「秋の野焼きの可能性」を探るために再び実験の焼きをおこなう予定です.

●2007.4.9.掲載 2007年の事業野焼きは4月25日の早朝におこなわれます.予備日として4月27日が準備されています.濤沸湖側の実験野焼きは,事業野焼きと同じ日の午後に予定されています.




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