元 々 粗 忽

We're on a road to nowhere.
(from "Road to Nowhere" by Talking Heads)
* * *

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2004-5-28-fri
おいしさ発見、アグリコーラ
一心不乱に渉猟バッタ。

2004-5-27-thu
 ここんとこ文献を読んだり、渉猟したり、請求したりしている。もちろんそれ以外に、実験室で器具を洗ったり電気ドリルで工作したりといった逃避にも余念はないし、さらには夕刻のうどんは欠かしていないし、たまには豚や牛のモツを囲んで酒を飲んだりもしている。それはさておいて。文献を渉猟しているのは、世界の砂丘植生研究の大きな流れと日本の砂丘植生研究の全貌をつかもう、と思ったからだ。こういうことは研究のはじめにやっておくべきことだが、諸般の事情(おもにスキル不足)によりやらずじまいだったので今やってる。そういうこともある。万事如意っちゅうことで。
 先日は1899年の文献を請求した。砂丘植生の遷移に関する最初の文献である。クレメンツ1905よりも前の文献だ。
 今日、友人からもらった本(「島の植物誌」伊藤秀三1994)をぱらぱらと読んでいてあらためて認識したのだが、ダーウィンの「種の起源」が世に出たのって1859年だ。なーんとなく、もっとずっとおおむかしかと思ってた。ってことは、ぼくが請求した1899年の文献は「現在」と「種の起源」のまんなかよりもずっと「種の起源」よりにある。請求した文献の古さを実感したかというとそうではなく、ダーウィンってけっこう最近の人やってんなあ、と認識が変わった。
 自分が生まれる以前、あるいは親すら生まれてない頃のことって、十把一絡げに「おおむかし」フォルダにほりこみがちだが、なにかきっかけがあって、時間にものさしがあてがわれると、古さの感覚がわかりやすくなるかんじ。うまくいえないけれど。
 村上春樹が時代背景を説明するとき、固有名詞をバシバシつかって2行くらいであっさり終わらせるのは、コンパクトだけど有力なものさしをつくってるってことやな。

2004-5-21-fri
 データの整理をしていると、対象とした種とか処理とかいろいろあって、なにがなにやらわけがわからんようになっていることに気づいた。みつめていると睡魔に襲われる。こんなときは眠くてもできる作業をしようと実験室にいって洗い物をする。洗い物をしていたらシャーレにマジックで書いた文字が消えなくて、こらあかんとアセトンをキムタオルにつけて拭く。キムタクとちゃう、キムタオルや。いちいちいわんでもわかるっちうねん。だれがまちがえるかい。気化するアセトンを吸ったらこんなふうにきもちがよくなって、ついでにお腹がすいてくるから冷凍うどんを解凍して食べる。うどんを食べたら満腹感を得てしまってついうっかり睡魔におそわれるが、こんどは洗い物をせずにデータに向き合おうと思う。そう思うと世の中どうにかなりそうな嬉しい気分になるというものである。
 以上、要約します。データの整理をしているとうどんを食べて嬉しい気分になる。
 閑話休題、てなことをかくと、いままでのは何やったんやと思いますが、つながりのわるいマクラっちうことで。自転車に裏と表があることを知った。リムにも裏と表があることを知った。前後パターンが対称のタイヤにすら裏と表があることを知った。よのなかそんな具合なので、ぼくはこんりんざい、何に裏と表があろうとおどろかないことにした。というのは表向き、裏ではいちいち裏と表にびっくりしつづけようと心に誓った。カモン。

2004-5-20-thu
 一回やすみ。

2004-5-19-wed
 時間の量感がつかめない。むかしからできへんねんけどな。
 文献よんだりデータとったり。セミナーの準備もせなあかんけど停滞。

2004-5-18-tue
 高山試験地に通ずる道路周辺でゴミ拾い。山の上に岐阜大の試験地のほかに国立青年の家とかいろいろあって、それらの団体の合同行事だ。きれいな山の中に不法投棄されたタイヤ、ドラム缶、洗濯機、空き缶、弁当ガラ、ビデオテープ、ビニールハウスの骨組み、自転車、ふとん、事務イスなど、トラックの荷台から溢れるほどのゴミを拾った。世にぼけなすのタネはつきまじ。道交法には抵触するが、トラックの荷台に乗って移動。きもちええから、これ“あり”にしてほしいなあ。パッシブセイフティなんかどーでもええやん。
 ゴミ拾いのあとは、屋外でケイチャン。北海道にジンギスカンが、東北に芋煮があるように、飛騨にはトンチャンとケイチャンがある。仕上げにうどんをまぜこんだ。うどんハッピー。
 午後はM1ソデのサイトづくり。2つのタイプの植生が隣接していて比較研究に都合がよい。方形枠を張り終わったときに小泉先生がソデに言った。「ここでこれから2年間がんばれよ」。横で聞いていたぼくのモチベーションが上昇したのはなんで?ソデの瞳には炎。
 サイトのまわりで山菜とり。ちかごろ山菜界では人気絶頂のコシアブラをたんまり。

2004-5-17-mon
 ある植物の種子、硫酸処理に失敗したんか予想外のカビ。たぶん健全な種子と思うのだけど、発芽するより先にカビルンルンに侵されていく。これではデータにならんな。さっさとあきらめればええものを未練たらしくちまちま隔離したり捨てたり。
 研究計画セミナー。今日はソデ(燃える新M1)とminacoさん(仮名)。どっちも炭素循環に関する研究。さしたる波乱もなく。データの取り方とか解釈とか操作実験とかを考えるのっておもろいなあ。
 夜、冷凍うどんで腹ごしらえのあと高山に向かって出発。

2004-5-16-sun
 猪名川(兵庫県)の野草教室。ぜったい中止だろうという天気図なのに雨なのに主宰の国交省が決行するという。これに講師として参加するので名神高速を西進。結局、講師集合の1時間後に中止決定。で、することなくなったので、友人(兵庫県立人と自然の博物館勤務)の調査の下見に数人でつきあう。現場をみながら大勢でディスカッションって楽しいな。
 そのあと、私の無職時代に身柄をあずかってくださった若社長の家でごはんとおちゃ。渡辺篤史がたずねてきそうなこじゃれたええ家でした。社長またあそんでください。
 往復250km。本来の目的は中止だったが、ひさしぶりの人にたくさん会えたから結果オーライ。家に帰ったら疲れて寝てしもうた。

2004-5-14-fri >>> 15-sat
 流研生物系研究室合同新歓コンパin高山。小泉研の新M1と、試験地にあたらしくやってきた技官の方を歓迎する。新M1は鼻腔に右手親指を半寸ばかり挿入し残り四本の指を鼻先でひらひらさせながら「バーニング!」と叫び(*)、鼻腔につっこんだ手で周囲に握手を求め、その他ここに書くことのはばかられる狼藉の数々を披露したあげくスーサイドボム。一方の技官さんははじけたおっちゃんぶり。いや、はじけすぎ。ともあれ、私たちは燃える新M1とはじける技官さんを歓んで迎えた。これからしばらくお世話になります、よろしう。
 僕は夜半にTKO。アルコホル代謝経路が意に反して貧弱でアセトアルデヒドがたまるたまる。あかんの。飲み会部屋でイスを並べて就寝。毛布をかけてくださった方々には感謝しております。ちなみにすでにベッドは埋まっていて私の寝る場所はなかったらしいので、イス寝が正解だった。
 土曜日は朝5時半にすっきり目覚め、朝食をつくって、くろうて、試験地周辺でバードヲッチング。声はするけど姿はみえない。コルリが近くで鳴いているのに。あと、キョロリンピョコリンという鳴き声は何やろ。牧場のちいさな沼にはオタマジャクシがたくさんいて水中にたまったリターをしゃぶりまくっていた。リター表面にわいている微生物でもたべているのだろうか。
* 『仮面の忍者赤影』の青影の「だいじょーぶっ」のポーズにちょっと似てる。ちなみに原題は『飛騨の赤影』。作者は横山光輝。チェケラッ!。

2004-5-12-wed
 発芽試験を終えた種子の生死判定。カミソリでちまちまとタネを切って断面をみる。ちまちま、ちまちま、ちまちまちまちま、ちまちまちまちま、ちまちまうーーーーっ!
 スチールの机で作業していたことは僥倖だ。うっかり卓袱台で作業をしていたら、シャーレと実体顕微鏡とタネが各々放物線を描いた可能性がある。
 まあええわ。梅酒でものみながらちまちまやるべえええええ(ドクロべえ風に)。
 久々の休うどん日。塩ラーメンをたべた。でも明日からのために冷凍うどんを買いだめた。ラブうどん。うどん命。うどんサイコー。ハッピーうどん。グレイトうどん。オーマイうどん。すきすきうどん。きゃー。

 などと盛り上がっていたら我慢できなくなって、結局よる遅くうどんを0.5玉たべました。

2004-5-11-tue
 この世の中はいたるところにびっくりスイッチがひそんでいる。「慣用読み」はびっくりスイッチのひとつだ。慣用読みとは、たとえば、「正鵠」をセイコウと読んだり、「相殺」をソウサツと読んだり、「早急」をソウキュウと読んだりする読み方である。それぞれ「セイコク」「ソウサイ」「サッキュウ」が本来の読み方である。
 このくらいなら知ってる範囲だし、日常生活では正鵠なんてたまーーーにしか使わないからそうびっくりしない。しかし慣用読みの仲間に、つねひごろ知らずに用いている言葉が含まれていたらすこしはびっくりすることであろう。
 さて、私は植生学の末席を汚しているものであって、多くの同志とともに「撹乱」という語を日々用いて生活している。「撹乱」が口から出ない日はないといってよい。しかるに、この「撹乱」にスイッチが仕込まれていたのである。
 「撹乱」をカクランと読むのは慣用読みだそうだ。正しくは「コウラン」と読む。知らなんだ。ちょっとびっくりした。
 でもそれよりびっくりしたのは「輸出」である。これを「ユシュツ」と読むのは慣用読みらしい。まじで?ほかにいったいどう読めというのか?正しくはこうだ、「シュシュツ」。輸出入はもちろん「シュシュツニュー」だ。なんだそりゃ。絶対通じない。
 研究計画セミナー。今日はヤシロとコンちゃん。白熱。
 文献を読んだり、発芽試験のうち12種類をおわらせたり。
 今日も冷凍うどんを茹でてから食べた。いちど凍ったまま食べてみたい。

2004-5-10-mon
 1961年の文献をみっちり読んでいる。飛ばし読みで読んだけど、それだと内容をわかってなかった。わかってなかったことをわかってなかったことに気づいた。文献をみっちり読むとき、内容をみっちり読むのと英語をみっちり読むのは別の作業なので、英語をだーっとよみつつ内容をみっちり読めたら時間がかからなくていいのだが、ついつい英語もみっちりよんでしまってえらい時間がかかる。写経にちかい。英語をみっちりよまないと内容をとりちがえるからっていうのもあるけれど、それにしても。
 冷凍うどんを食べた。もちろん茹でてからたべた。
 ちょっと自分に対して業腹。きづかせてくれた人には感謝。こころから。

2004-5-9-sun
 文献をよんだり、発芽試験のデータをとったり、カビはえた種を隔離したり、ぶっかけうどんをたべたり、気を散らしたり。

2004-5-8-sat
 応用生物科学部探鳥会@金華山。サンコウチョウやらいろんなきれいな鳥の声はするけど姿がみえない。声だけでもきれいなのでそれもまたよし。
 ひやしたぬきうどん。
 午後は少し文献を読んだりひるねしたり気を散らしたり。

2004-5-7-fri
 ゲストをまねいてセミナー。水ポテンシャルの概念のわかりやすい講義つき。ありがたい。水輸送の研究の話はついてけなかった。残念。
 つくば大学にいる知人がこの日記をよんでくださって、コイの産卵の呼び名(この日記の4月30日参照)についてメールをくださった。おおきに。それによると、「のっこみ」または「はたき」とよぶそうな。そういえば「のっこみ」は聞いたことある。minacoさん(仮名)に「こないだいってたモロだしのことやけど、のっこみ?」って聞いてみた。
「そう、それそれ。のっこみ。ザッツライト」
「モロだしとだいぶちがうやん」
「なんとなくえげつない感じがにてるやん」

5分くらいたって、minacoさん(仮名)がきいてきた。
「で、モロだしじゃなくってなんだっけ」
「のっこみ」
「ああ、そうだそうだ。すぐ忘れるなあ」
すぐ忘れすぎだと思う。

また5分くらいたって、minacoさん(仮名)がきいてきた。
「で、なんだっけ。もっこり?」
「のっこみ」
「ああ、そうだそうだ。最近もの忘れがはげしくって。忘れないよう書いとこう」
おもろいやっちゃ。

2004-5-6-thu
 オフ。滋賀県の北の方に高層湿原があると聞いてぶらぶら歩きに行ってきた。湿原の集水域の森はわりと最近まで薪炭林施行されていたような細くて低くて明るい林。ええとこやな。ここはゴルフ場にされる予定だったのを県が土地を買いとって保護したらしい。ゴルフ場にならなくてよかった。

2004-5-5-wed
 文献をいろいろ読みなおす必要がでてきた。いよいよまとめる段になるまで、文献のどこが自分に必要なのかようわかってなかった。読み取るべきを読み取っていない。勉強不足をはじいるひまはないのでオラオラーいいながら走ろう。まっすぐ走れたらええのだが、いや走らなあかんのだが、つぎからつぎから気が散る病。まじシャブくれシャブ。とりあえず海浜植生/植物の遷移と人為撹乱影響と種子生態に関する文献よもう。
 最近わかってきたこと。いきあたりばったりで緻密さを欠いとったら研究はまとまらん。そのことをいやというほど思い知った今、この次からはいきあたりばったりじゃない緻密なやり方ができるようになっていると思う(願望)。でも今まとめようとしているのは行き当たりばったりでやってきたのでナカナカさいあくな状況におちいっている。さあどないしてクリアしたろ。なるよにしかならん。まぼちぼち。

2004-5-3-mon
 アカン病の要因は何をするのか自分でわかってないことかもしれないとおもって確認。3年目のフィールドのデータを常在度表に。いろいろやりすぎてわけわからなくなってる発芽試験を一覧に。とりいそぎそこまで早急に。上位自我の欠如を如何にして埋めん。
 昼にうどん。この地方ではひやした麺類を「ころ」という。かわいいな。ころ。
 右手小指がいたい。原因は最近替えたマウスがでかすぎること。マイクロソフトのインテリマウス、なんでこんなにでかい。ふつうにつかもうとするだけで小指をむりやり広げられて、その状態でしばらくいるとじんじんしてくる。ピアニストを志す人は指を矯正するのにこのマウスを使うとよろしい。

2004-5-2-sun
 きがつけばいちにちがさり、じこけんおにまみれてじぶんにつっこみながらよめる。

 すぎさったのはいちにちではなくひとつきかもしれない。
 しょっくのあまりうどんをたべなかった。

2004-5-1-sat
 4月30日が5月1日に変わった瞬間にJES51参加申し込みの扉は閉じられた。登録確認ペイジをみると、ほんとうにギリギリで申し込んだ人がけっこういた。シャッターが閉まる10分前以降の登録者はツワモノだ。日付変更後の登録者は見様によっては「神」だ。サカイトオルといっしょにその一覧を眺めつつ「1000番取ろうとしてわざと待ってた人がいるんじゃないか」と私の心に去来した妄想を申し述べたところ、サカイすかさず「1000取り合戦ですか」と某巨大掲示板の専門用語をくりだしてきやがる。1000ゲトー、ズザザザー。世の中は広くて楽しい。まじでおられたようだ。そういうお方が。
 夕刻、サカイトオルからメイルが入る。内容は「今、北大サーバー落ちてない?生態学会釧路大会ペイジに行けない。1日後に落っこちて助かった。くわばらくわばら(要約)」というもの。そのメイルを読んだあとで試したら、だいじょうぶ入れたよ。一時的におちてたんかな。それともこっちの鯖に問題があったか?だって不安定さではウチだってまけてないぞ。えっへん。
 小泉研のコンちゃんが自転車を買ってきた。太いアルミフレイムに透明感のある赤の塗装がきれい。あー僕も自転車にのりたい。実は持っていることは持っている。某コンサルで月給をいただいていたころ、いわゆる個人的バブルぶいぶい時代にばばーんと購入したもの。それが、なんということか、家で長い休眠状態にある。ほとんど乗らぬままに朽ちていこうとしている。あれを直したい(いくらかかるやら)という気持ちがびしびしとある。駅学校の往復に使いたい。しかし、そうすると単車にのる機会が激減する。と、どうなるか。ポンコツの単車がこわれるのだ。単車や車は毎日使ってこそ長持ちする。なんだか単車をつかっているのか使われているのかわからなくなってきた。車輪モノ内燃機関モノに対しては理性的合理的な判断ができない。そういうヤマイ。
 今日から論文ヰーク。がんばろう。昼に岐阜駅でうどんを食べた。ええ店やった。いつかもういちど稼げる身分になったらこんな店で酒をのむんだって気にさせられた。これってハングリー精神か。
 研究室のBGMを担当している年代モノのCDラジカセ、ここ数日の連続運転に音を上げたのか、ちょっと独自のアレンジをほどこして演奏してくれる。それがなんかクリエイティブなん。今日はSHOGUNかけてるんだけど「ワンサゲン、ニューロンニュロン」の「ニュロン」を普段よりも1回多めにリピートしたりして笑いをとりにくる。ええやっちゃな。
 * 今回の日々粗忽はリンク先に敬意を表したカタカナ表記を採用しております。




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