津田研究室
岐阜大学 流域圏科学研究センター
シナリオ「環境防衛軍出動せよ!」の紹介
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環境教育は小学校の課程では理科,社会,総合的な学習の時間などで実践されることが多く,授業としての性格が強くなっています.そのため児童にとって環境教育的な活動が「楽しくない」ことが多いかも知れません.そこで,環境教育の一環として,授業とは別の機会に取り組めるものとして,環境問題をテーマにした学芸会(演劇祭)向けのシナリオをつくることにしました.このシナリオは,題材として取り込まれている内容がかなり高度なものとなっていますが,桃太郎,鉄腕アトム,水戸黄門などのわかりやすい話を下地して,児童にも取り組みやすいストーリー展開となるよう配慮しました.1997年9月に作られたこのオリジナル版は 2クラス以上程度で上演できるように出演者数が82名にもおよびますが,一人で二役を演じたり,逆に二人で一役を演じたり,または複数人数が必要な配役の増減により,もっと少ない人数でも多い人数でも上演が可能になっています.
1997年11月におこなわれた名古屋市立正木小学校の学芸会で演じられたのが最初ですが,それ以降は演じられたことがありません.(上演記録は末尾に掲載).
(たぶん「やってみよう」と思う人はいないと思いますが,どなたでも使っていただいて結構です.)
環境防衛軍出動せよ! 作:津田 智(1997年9月)
◆配役
少年
水道橋博士
助手(高畑)
ミトコン
リボゾ
ゴルジ
ドクター細川
アデニン1,2,3
グアニン1,2,3
シトシン1,2,3
チミン1,2,3
放射能1,2,3
アミルカーン1,2,3
スチルカーン1,2,3
フロン1,2,3
オゾン1,2,3,4,5,6
し1,2
ん1,2
ぶ1
怒涛の生活排水1,2,3,4,5,6,7,8,9,10
混沌の工業廃水1,2,3,4,5,6,7,8,9,10
美少女コーラス隊1,2,3,4,5,6,7,8,9,10
濁声合唱団1,2,3,4,5,6,7,8,9,10
ドクター細川率いる環境こわし隊が放射能汚染,ごみの散乱,オゾン層破壊,水質汚濁などのさまざまな攻撃で地球環境を破壊しようとするが水道橋博士が呼び集めた宇宙少年とミトコン様ご一行の努力で地球が救われるというお話です.
上手の舞台下には美少女コーラス隊がならび,下手の舞台下には濁声合唱団がならんでいる.それぞれ唄うときだけ起立する.
開演とともに美少女コーラス隊による「見上げてごらん夜の星を」のハミングが流れる.(ソロを入れてもよい)
舞台上手で二人の研究者が下手方向の夜空を見上げている.
水道橋博士 「おや??」
助手 「おや,おや??」
水道橋博士 「おや,おや,おや??」
博士と助手は手にした望遠鏡をのぞきこんだまま視線は天空から水平線へゆっくり落ちてくる
ドンガラガッシャーンとけたたましい音(下手)とともに一人の少年が博士の見ているのと反対の方向(上手)から転がり込んでくる
少年 「いてて・・・」
博士と助手,見ていた方向ではなく,後ろから少年が現れたのでひどく驚く.
水道橋博士 「き,きみは宇宙人ですね?」
少年 「はい,宇宙人です」
博士,助手,少年 同時に驚きの声を上げる
水道橋博士・助手・少年 「おーっ!!!」
水道橋博士は気をとりなおして
水道橋博士 「やあ,やあ,はるばる,よくきたね.君の来るのをずっと待っていたのだよ.まあ,まあ,茶でも一杯飲みたまえ.」
少年 「申しわけありませんが,私は宇宙人なので茶は飲みません.」
水道橋博士 「では,さっそく本題には入ろう.高畑君,ファイルを.」
助手 「はい,水道橋博士.」
水道橋博士 「なになに.君はこの汚染された地球を救いにきたのだな.」
少年 「いいえ.ちょっと操縦ミスで宇宙船が墜落してしまっただけです.」
水道橋博士 「いやいや,そんなことはない.ビコーズなぜならば,このわたしの何でもファイルにそのように書いてある.したがって君はこの水道橋博士といっしょに世界平和のためにドクター細川一味と戦って勝利しなくてはならないのであーる.そうだね高畑君.」
助手 「はい.博士.」
少年 「だからー,それは・・・・」
水道橋博士 「(少年の言葉は無視して)さっそくトレーニングに入ろう.ところで少年! そのー,なんだなあー,あれはどうした.」
少年 「はあ?」
水道橋博士 「あれ,あれ,こー,ボタンひとつでビームか何か出てきて,敵をたちどころにやっつけるような,戦闘機とも戦車ともつかないような乗り物は?」
少年 「・・・・」
水道橋博士 「乗り物ではないのかな? それじゃあ,装置?」
少年 「・・・・」
水道橋博士 「じゃ,ガン? バキューン,バキューン,びびびびびびーーーーっつ」
少年 「・・・・」
水道橋博士 「えーっ,なにもないの? おい,高畑君,どうしよう.」
助手 「水道橋博士,見りゃわかりますよ.そんなでかいもの持っているようには見えないでしょう.」
水道橋博士 「なにを言っておる,私のファイルにはそう書いてある.君はわたしのファイルが間違っているとでも言うのかね? ん?(と助手をにらみつける)」
と,ちょうどその時,ミトコン,ゴルジ,リボソの三人が美少女コーラス隊の唄う「水戸黄門のテーマ氈vに乗って現れる.
ゴルジ 「しずまれー,しずまれー,皆のものしずまれー,この紋所が目に入らぬかー.ここにおわすは,先の副将軍ミトコン様にあらせられるぞー.」
ミトコンを中心にゴルジとリボソが両側でひざまづく,見慣れたポーズ.
ミトコン 「ゴルジさんや,もうよかろう.ほっほっほっほっ」
助手 「何だか妙な連中が出てきましたぜ」
水道橋博士 「ファイルによれば,さる,きじ,いぬの助っ人が現れることになっておる.こいつらのことだろうか? なんだか,頼りないなー.さる・きじ・いぬのほうがまだましなんじゃなかろうか?」
助手 「人違いじゃないですか?」
水道橋博士 「うーむ・・・・」
博士と助手のやりとりの間に,少年,ミトコン,ゴルジ,リボソは挨拶したり握手したりしている.
助手 「おや? なんだか知り合いのようですよ」
水道橋博士 「(少年に)おーい! 君たちは知り合いか?」
リボゾ 「いえ,初対面です.」
水道橋博士 「(助手に)まっ,いいか?」
助手 「まっ,いいか.」
けたたましいサイレンの音.
その間に少年,博士,助手,ミトコン,ゴルジ,リボソは退場.
「オクラホマミキサー」の曲が流れ,DNA軍団が舞台下手からおどりながら登場する.言うまでもなくアデニンとチミン,グアニンとシトシンがそれぞれパートナーになるようにする.おどりのパートナーはつねに変わらない.
アデニン1,2,3 「ねえ,グアニン.わたしこのダンス嫌いじゃないんだけど,どうして相手がいつまでも変わらないの? 私いつもチミンが相手であきてしまったわ.」
チミン1,2,3 「言っておきますけどね,おれだっていつもアデニンとばかりでうんざりしてるんだからな.」
グアニン1,2,3 「まあまあ,ふたりとも・・・・」
グアニン1 「そうだな,たまには変わるのもいいかもね.」
シトシン1,2,3 「だめよ! これは決まりなんだから.」
チミン1 「やーい,シトシン.おめえグアニンのことが好きなんだろう?」
チミン2 「すきなんだろう?」
チミン3 「すきなんだろう?」
シトシン1 「なに言ってんのよ.そんなことないわよ.」
シトシン2 「ないわよ.」
シトシン3 「ないわよ.べーっ」
グアニン1,2,3 「そっかあ(ちょっとがっかり)」
シトシン2 「これは,ずっと昔からの絶対に破ってはいけない約束だって,ばあちゃんから聞いたわ.」
グアニン2 「36億年前にはじめて地球に生命体が誕生したときからの約束だと本にも書いてあった.」
アデニン1,2,3,チミン1,2,3 「ふーん」
グアニン3 「おどろっ! 」
DNA軍団ふたたび「オクラホマミキサー」をおどり始める
舞台下手にドクター細川こっそり登場.
ドクター細川 「ちぇっ! またこのダンスか.辛気くさい連中だなあ.ちょいとからかってやるか. 放射能!」
放射能1,2,3 「へい.」
ドクター細川 「いけー.」
放射能1,2,3 「がってんでい.」
濁声合唱団の「環境こわし隊のテーマ氈v.
放射能1,2,3はDNA軍団の列に近づく.放射能1はビニールのトンカチでチミン2の頭を,放射能2,3はグアニン3の頭をぽかぽかたたく.一連のやりとりの間じゅうたたきつづける.
チミン2 「いてーなー」
グアニン3 「よせ,よせ! 」
アデニン1,2,3 「あんたたち,やめなさいよ.」
放射能1 「うるせー」
シトシン1,2,3 「いいつけるわよー.」
放射能2 「いいぜ,やれよ.」
チミン1,3 「おれたちが何したって言うんだよ.」
グアニン1,2 「いいかげんにしてください.」
アデニン2 「(チミン2に)だいじょうぶ? 」
グアニン3,ぐったりしてくる.虫の息.
シトシン3 「しっかりしてグアニン! 」
グアニン1,2,チミン1,2,3,アデニン1,2,3,シトシン1,2,3,くちぐちに「しっかりしろ」とか「がんばれ」とか言っている.
グアニン3,ばったりたおれる.動かない.
放射能2,3はグアニン1とグアニン2の頭をたたき始める.
美少女コーラス隊による「水戸黄門のテーマ」
舞台上手に少年,ミトコン,ゴルジ,リボソ現れる.
少年 「水道橋博士! DNAがピンチでーす.」
博士と助手やや遅れて上手より登場.
水道橋博士 「おお,これはいかん.はやく手を打たないと突然変異体があばれだすぞ.ものども放射能をおっぱらえー!!」
少年・ミトコン・ゴルジ・リボソ 「おおーっ」
ゴルジ 「やい,てめーら.この紋所が目に入らぬか(近づいていくが)」
放射能3 「ばーか.そんなもんが目にはいるかよ.このスットコドッコイ.」
ゴルジ 「ううっ.あんなこといってます(と,もどってきてしまう)」
リボソ 「こんどはおれが相手だ!」
リボソ,放射能に近づいてポーズを決めるが,トンカチで頭を殴られ,すごすごと戻ってくる.
ミトコン 「みなさん,帰りましょうか?」
助手 「やっぱ,たよりないですね.」
水道橋博士,なにやら妙なおどりをおどっている.
放射能1,2が博士の妙なおどりに見とれているすきに少年はとんかちをうばいとる.
助手 「水道橋博士! どうしたんですか?」
水道橋博士 「ん.まじないじゃ.」
助手 「まじない?」
少年 「(ミトコンたちに向かって)みんな! いくぞーっ!」
ミトコン・ゴルジ・リボソ 「らじゃ」(ポーズ)
少年はとんかちひとつをミトコンにわたし,二人でそれぞれ放射能1,2のおしりをたたきまくる.ゴルジとリボソもそれぞれに戦う.
ミトコン 「とおーっ.液胞炸裂,ストロマラメラー」 (ぽかぽか)
少年 「必殺,シラクキラー,うけてみよ」 (ぽかぽか)
放射能1,2 「ひえーーっ.おたすけをー」
放射能たちが下手へ逃げ去る.と,入れ替わりに濁声合唱団の唄う「環境こわし隊のテーマ」に乗ってドクター細川登場)
ドクター細川 「私はドクター細川.うちの若いもんをかわいがってくれたのはどこのどいつですかな? まさか,そこなる6ぴきではないでしょうな? ほっほっほっほ.」
助手 「博士,われわれのことを6ぴきと言ってますよ.どうしましょう.」
水道橋博士 「ばか! どうしましょうも,こうしましょうもあるもんか.訂正をさせたまえ.エーエーっと.二人と4ひき,だ,と.」
助手 「はっ! おーい.二人と4ひきの間違いだぞ.」
少年 「帰ろうか?」(ミトコン・ゴルジ・リボソに)
ミトコン 「そうですね.」
水道橋博士 「あーいやいや.今のはそのー,撹乱戦法というやつでな.」
ドクター細川 「何をごちゃごちゃ言っておる.次なる攻撃はこれじゃあー.ゆけ! かんかん娘たち!」
濁声合唱団の「銀座かんかん娘」の歌に乗りアミルカーン1,2,3,スチルカーン1,2,3元気よく登場.
アミルカーン1 「アミルカーン1号参上.」(と,ポーズ.)
スチルカーン1 「スチルカーン1号参上.」(と,ポーズ.)
アミルカーン2 「アミルカーン2号参上.」(と,ポーズ.)
スチルカーン2 「スチルカーン2号参上.」(と,ポーズ.)
アミルカーン3 「アミルカーン3号参上.」(と,ポーズ.)
スチルカーン3 「スチルカーン3号参上.」(と,ポーズ.)
ドクター細川の吹くホイッスルにあわせ,アミルカーン,スチルカーンたち,整列・人間ピラミッド・崩壊(会場からわれんばかりの拍手喝采).崩壊した後はそのままごろごろ転がって舞台のあちこちに散乱.
水道橋博士 「むむ,敵もなかなか手強いぞ.それっ.」
少年 「ミトコン・ゴルジ・リボソ,いくぞ!!」
ミトコン・ゴルジ・リボソ 「おーっ.」
少年 「資源ごみ分別回収リサイクルパワー,オン.」(ポーズ)
ミトコン・ゴルジ・リボソ 「パワー,オン.」(少年と同じポーズ)
美少女コーラス隊の「水戸黄門のテーマ。」が流れる.
少年・ミトコン・ゴルジ・リボソでじゃんけん.まず,ゴルジが負ける.ゴルジはアミルカーン1を背負って舞台下手に運び去る.もどってきて,またじゃんけん.またゴルジの負け.アミルカーン2を背負って下手に運び去る.ふたたびもどってきて,またじゃんけん.今度は少年の負け.アミルカーン3を背負って下手に運び去る.もどってきたら,じゃんけん.またまたゴルジの負け.スチルカーン1を背負って下手に運び去る.もどってきたら,じゃんけん.今度はリボソの負け.
リボソ 「最後の方はおもたそうなのばかりだなあ.」
ミトコン 「負けたんだから,文句は言わないの!」
リボソ 「はいはい.ちぇーっ.」
リボソはスチルカーン2を背負って下手に運び去る.最後に残っているのは最も大きなスチルカーン3.戻ってきて最後のじゃんけん.みんな気合いが入っている.とうとうミトコンが負ける.
ミトコン 「いま,リボソ後出しした.やりなおしだあ.」
リボソ 「後出しなんかしてないぞ.」
ミトコン 「後出ししたよなあ?(と,皆に同意を求める).」
少年 「ぼくには後出ししたようには見えなかったけど.」
リボソ 「そうだそうだ.ミトコン,早く持っていけよなあ.」
ミトコン 「ちくしょー.何だってこんなに重いんだ.」
ミトコン途中でつぶれる.
少年 「しかたないなあ.」と言って手伝ってやる.
少年 「ふー・・・ 資源ごみ分別回収リサイクルパワー,オフ.」(ポーズ)
ミトコン・ゴルジ・リボソ 「パワー,オフ.」(少年と同じポーズ)
水道橋博士 「ふっふっふっふ.どうだねドクター細川,我々の力を思い知ったか?」
ドクター細川 「なにをこしゃくな.勝負はこれからだ.」
美少女コーラス隊の「オゾン玉」の歌に乗って,オゾン1,2,3,4,5,6がふわふわ登場.
水道橋博士 「おや,これは美しい.オゾンたちですなあ.」
ドクター細川 「行け! フロン」
濁声合唱団の「環境こわし隊のテーマ。」が流れる.
手に手にスプレー缶を持ったフロン1,2,3登場.
フロン1,2,3 「シューッ,シューッ.」などと言いながら舞台中を走り回る.
オゾン1 「わっ!」(と,いって口を大きくあいたまま,かたまる.)
オゾン2 「わっ!」(と,いって口を大きくあいたまま,かたまる.)
オゾン3 「わっ!」(と,いって口を大きくあいたまま,かたまる.)
オゾン4 「わっ!」(と,いって口を大きくあいたまま,かたまる.)
オゾン5 「わっ!」(と,いって口を大きくあいたまま,かたまる.)
オゾン6 「わっ!」(と,いって口を大きくあいたまま,かたまる.)
水道橋博士 「やややや,オゾンホールができてしまったぞ.これは何とかしなくては.またまた突然変異体が暴れ出す原因にもなりかねん.」
少年 「冷媒チェーンジ,ガス回収システム,紫外線カーット!!」
「クシコスポストなど(運動会のかけっこで流れるやつ)」の曲が流れ,少年,ミトコン,ゴルジ,リボソはフロン1,2,3を追いかけまわす.が,なかなかつかまらない.
水道橋博士が「ぴー,ぴっぴ」とホイッスルをならすと,全員がそれにあわせて動きを止める.ふと,我に返った少年がミトコン,ゴルジ,リボソをゆり起こし,まだ止まったままのフロンたちを捕まえる.気がついてあばれるフロンたちからスプレー缶をうばいとり,放してやる.フロン1,2,3はあわてて舞台下手へ逃げ去る.
ドクター細川 「えーい,だらしないやつらめ. 今度はどちらから読んでも新聞紙攻撃だ.ものども,かかれ!!」
し1 「しししししししし,しんぶんし」
ん1 「んんんんんんんん,しんぶんし」
ぶ1 「ぶぶぶぶぶぶぶぶ,しんぶんし」
ん2 「んんんんんんんん,しんぶんし」
し2 「しししししししし,しんぶんし」
しんぶんしたちは,だるまさんがころんだの要領で「・・・・・・・・しんぶんしの」の後に一瞬止まって,またくりかえしながら舞台中を小走りに移動する.一人ずつ舞台下手から登場し,全員が出そろったら,し1, ん1,ぶ1,ん2,し2の順番で舞台中央に整列.
し1 「し」
ん1 「ん」
ぶ1 「ぶ」
ん2 「ん」
し2 「し」
ぶ1を中心にしてし1とし2,ん1とん2が入れ替わる.
し2 「し」
ん2 「ん」
ぶ1 「ぶ」
ん1 「ん」
し1 「し」
し1・し2・ん1・ん2・ぶ1 「ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ・・・・」(舞台中にちらかってしまう)
少年 「なんのこれしき.あきカーンのときと同じ戦法でやっつけてやる.資源ごみ分別回収リサイクルパワー,オン」(ポーズ)
ミトコン・ゴルジ・リボソ 「パワー,オン」(少年と同じポーズ)
なにごとも起こらない.
ドクター細川 「どうした,少年.え? (勝ち誇って)ふぁっふぁっふぁっふぁ」
少年 「うっ」
助手 「水道橋博士! 少年の必殺技が効かないようですよ.」
水道橋博士 「うむ.そうじゃ.少年! そのバージョンではだめだ.11.25Sのバージョンを使ってみたまえ.」
少年 「はい.」
助手 「博士,いったいそれは何ですか?」
水道橋博士 「わからん.」
助手 「わからん.って,11.25Sバージョンって言ったのは博士ですよ.」
水道橋博士 「いや,この何でもファイルにそう書いてあるだけで,わしゃ,知らんよ.でも,少年は『はい.』と言っていたから,少年は知っているのかも知れんなー.」
助手 「博士も,たよりない.」
少年 「今度こそ,資源ごみ分別回収再生紙製造リサイクルパワー,オン.」(ポーズ)
ミトコン・ゴルジ・リボソ 「パワー,オン」(少年と同じポーズ)
美少女コーラス隊の「水戸黄門のテーマ「」が流れる.
ちらかっていた新聞紙はぐるぐる回りながら一カ所に集まってしまう.ゴルジとリボソが,それに紐をかけ,少年,ミトコン,ゴルジ,リボソで舞台上手へ運び去ってしまう.
水道橋博士 「どうじゃ.わしの言ったことに間違いはなかろう.はっはっは.」
助手 「・・・・・」
ドクター細川 「う.う.う. かさねがさねこしゃくなやつらめ,こうなったら最後の奥の手だ.ものども,出ませー.」
濁声合唱団は「環境こわし隊のテーマ「」を唄いながら舞台の上におどりでる.
怒涛の生活排水,混沌の工業廃水,濁声合唱団「どんぶらこっこ,どんぶらこっこ・・・・・」と,言いながら舞台中を埋め尽くし,右往左往したり,一斉に流れたり.ときどき風船がまいあがる.しだいに整列され,舞台上手側に怒涛の生活排水,下手側に混沌の工業廃水がならぶ.濁声合唱団は半分が生活排水,残りが工業廃水の役となる.また,それまでの出演者(悪役方)も適宜混ざってしまってもよい.まだ「どんぶらこっこ・・・」は続いている.
ドクター細川 「生活排水,元気かー?」
生活排水 「おーっ.」
ドクター細川 「工業廃水,のってるかー?」
工業廃水 「おーっ.」
「どんぶらこっこ・・・」は続いている.ここでウェーブ.ときどき風船.張り子の魚が泳いでくるが,しばらくすると,腹を上にして流されていく.
水道橋博士 「おおおおおーーーー.すさまじい・・・・ メタンまで放出されているぞ.おおっ,おさかなが死ぬ.」
ドクター細川 「どうじゃ.ドクター細川の底力.わっはっはっは. それー! もっと大きく.もっときたなく. よごせよごせー.」
生活排水・工業廃水 「おーっ.」
生活排水1,2,3,4,5 水道橋博士と助手をとり囲み,おしくらまんじゅう状態.そのまま舞台中央に移動.博士と助手は埋め尽くされた排水たちの間でおぼれそう.
水道橋博士・助手 「ううう.助けてくれー.」
美少女コーラス隊の「水戸黄門のテーマ」」にのって,少年,ミトコン,ゴルジ,リボソ登場.
少年 「あっ.たいへんだ.水道橋博士と助手がおぼれそうだ.」
ミトコン 「ゴルジさん,リボソさん,やっちまいなさい.それーっ.」
ゴルジ 「ミトコン,おまえもいくんだよ.」
ミトコン 「でも,わしゃ,およげんのだよ.ゆるしてちょ.」
リボソ 「ええーい.ごちゃごちゃ言わないで,さっさと行けー.」(と,ミトコンをつきとばす.)
美少女コーラス隊の「水戸黄門のテーマ」」にあわせて,少年,ミトコン,ゴルジ,リボソは排水たちの間を泳いでいく.しかし,美少女コーラス隊の声はだんだん「どんぶらこっこ」にかき消されてしまう.この後ずっと「どんぶらこっこ」は続いている.
少年 「活性汚泥ばっき漕処理中和剤噴射!」(ポーズ)
ミトコン・ゴルジ・リボソ 「噴射!」(少年と同じポーズ)
怒涛の生活排水1,2,3,4,5,および適宜参加していた悪役はぐるぐる回転しながら退場.
少年 「だめだ.あまりききめがないぞ.」
水道橋博士 「たすけてくれー」
少年 「今いくぞー! ・・・ いこうとしてるぞー! 」
ゴルジ 「だんだんはなれてるぞー!」
ミトコン 「さようならー!」
水道橋博士 「そんなー.何とかしろー!」
リボソ 「どうにもならんぞー!」
少年 「しかたがない.もう一度やってみよう. BODCOD溶存酸素活性炭添加!」(ポーズ)
ミトコン・ゴルジ・リボソ 「添加!」(少年と同じポーズ)
混沌の工業廃水1,2,3,濁声合唱団1,2,3はぐるぐる回転しながら退場.
少年 「ちくしょう.これではきりがないぞ.」
ドクター細川 「わっはっはっはっは」
助手 「たすけてくれー!」
ゴルジ・リボソ 「今いくぞー!」
ミトコン 「まってー!」
少年 「(行こうとする三人に向かって)みんな,ぼくからはなれちゃだめだ.四人で力を合わせなければ敵を倒せないぞ.」
水道橋博士・助手 「たすけてー!」
少年 「そうだ.水質の汚染は元から絶たなければいけなかったんだ.みんな,もう一度やってみよう.いくぞ! 環境保全エコマークリサイクル運動始動」(ポーズ)
ミトコン・ゴルジ・リボソ 「始動!」(少年と同じポーズ)
ドクター細川 「うわああああ.なんじゃこりゃ.」
ドクター細川は怒涛の生活排水と混沌の工業廃水の逆襲で,水の渦の中に巻き込まれてしまう.
水道橋博士 「おおっ.なんと汚水が引いて行くぞ.」
怒涛の生活排水6,7,8,9,10,混沌の工業廃水4.5.6.7.8.9.10.濁声合唱団4,5,6,7,8,9,10は少しずつ退場.少年,ミトコン,ゴルジ,リボソもさりげなく退場.
助手 「水道橋博士!」
水道橋博士 「おお,高畑君,無事であったか.」(ふたり抱き合って喜ぶ)
助手 「そういえば.少年たちはどこへいったんだろう.」
水道橋博士 「トイレでも行ったんじゃないのか?」
助手 「そんなばかな.」
水道橋博士 「じょ,冗談だよ.」
助手 「博士の何でもファイルには何て書いてあるのですか? 」
水道橋博士 「おー,そうじゃそうじゃ.どれどれ.うーむ,さっきの騒ぎでノートが破れてしまったようだ.最後の部分がなくなっておるぞ.」
少年,ミトコン,ゴルジ,リボソは客席の後ろ,または2階席あたりにこっそりあらわれる.
少年・ミトコン・ゴルジ・リボソ 「水道橋はかせー!」
水道橋博士 「やややや,そんなところでなにをしておる.こっちへきて茶でも一杯飲まんかー?」
少年 「ありがとう.でもぼくは宇宙人だから茶は飲みません.さようならー!」(手を振っている)
助手 「さようならー!」(手を振っている)
水道橋博士 「おいおい,何をしておる.彼らは我々地球人の恩人だぞ.このまま行かせてはおてんとうさんに申しわけがない.(少年たちに向かって)コーヒーとケーキではどうだ? なんならこぶ茶もつけるぞー」
白い紙が一枚ひらひらと水道橋博士の足下に落ちてくる.
少年 「博士.それが最後のページです.さようならー.」
ミトコン・ゴルジ・リボソ 「さようならー」
水道橋博士だけを残し,あとの出演者は退場.博士はゆっくりと紙を拾いファイルにはさむ.そしてそれをゆっくりと読み上げる.
水道橋博士 「鬼が島で鬼退治をすませた宇宙少年といぬ・さる・きじの三匹は・・・・んっもう,ば かばかし.こんなもの,えい!!」(ファイルを投げ捨て,あるきだす)
出演者全員の声 「こらっ! 地球を汚すな!」
水道橋博士,いそいでもどり,ファイルを拾って,一礼.
幕がおりてくる.
美少女コーラス隊の「見上げてごらん夜の星を」静かに流れる.
水戸黄門のテーマ氈F人生楽ありゃ苦もあるさ 涙の後には虹も出る 守って行くんだしっかりと 地球の環境さあまもれ
水戸黄門のテーマ:人生勇気が必要だ くじけりゃ環境悪くなる もとからたつんだ放射能 大事な遺伝子さあ守れ
水戸黄門のテーマ。:人生努力も必要だ 空き缶回収たいへんだ 自分で捨てればいいけれど ちらかしゃ誰かが苦労する
水戸黄門のテーマ「:人生工夫が必要だ 新聞ちらかしゃごみになる まとめておくんだしっかりと自分のうちで始末しろ
水戸黄門のテーマ」:人生根気が必要だ 水質汚濁は手ごわいぞ きれいにするたび後戻り がっかりしないでもう一度
環境こわし隊のテーマ氈Fおれたちゃ環境こわし隊 どんないたずらしようかな 放射能でもばらまいて遺伝子こわしちゃえ
環境こわし隊のテーマ:おれたちゃ環境こわし隊 どんないたずらしようかな ごみをどんどん散らかして まちを汚しちゃえ
環境こわし隊のテーマ。:おれたちゃ環境こわし隊 どんないたずらしようかな フロンガスでもばらまいて オゾンこわしちゃえ
環境こわし隊のテーマ「:おれたちゃ環境こわし隊 とどめ必殺攻撃だ 川も海も湖も 汚し放題だ
オゾン玉:オゾン玉飛んだ 空まで飛んだ 空まで飛んで 地球を守る フロンをまくな オゾン玉飛ばそ
上演記録
初演:1997年11月
場所:名古屋市立正木小学校
クラス:4年2組,32人
演出:津田美子教諭
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