日々粗忽 in Montreal


はじめに

はじめて国際学会に参加した.参加したのは2005年8月にモントリオールで開催された国際生態学会(INTECOL IX,以下"いんてこる"と書く)である.興奮することの多い日々だった.冷めてしまわないうちにその興奮を書き記す.帰国して1週間.冷却はすでにはじまっている.

この文章を書く目的は,自分自身の記憶を風化させないことだ.文章で残せることだけでも残しておかないと,興奮の日々は色あせてしまい,反芻することも叶わなくなるだろう.

この文章を公開する目的は,若い友人知人,とくに国際会議に参加することがあたりまえという雰囲気にない研究室所属/出身の友人知人の背中を押すことだ.そのような研究室では国際学会は身近なものではなく,参加しようという動機づけがなされにくい.また,情報も少ない.この文章が僕の友人知人に対し,なにかしら刺激になったり参考になったりすると嬉しい.

三中信宏さん2004年6月12日の「日録」に,海外での国際会議に参加することについて,こう書いている.「行けば必ず何か収穫はあります.行かなければゼロ」.三中さんの言葉に後押しされて僕は参加を決めた.「日々粗忽 in Montreal」は三中さんの言葉のひとつの事例である.行けば必ず何か収穫はある.

三中さんはこうも書いている.「学部生や若い院生の場合はよほど強い動機づけがないと,参加そのものに結びつかないことが多いかもしれない.開き直って,〈延髄反射で参加登録してしまう〉というのが案外いいのかもしれませんよ.『あ,これは』と思ったら,何も考えずに registration form にすかさず記入してオンラインで送信してしまうと.これで第1段階はクリアされたので,あとは流されるままかの地に運ばれていくというのがいいんじゃないでしょうか」.

このメッセージが僕の脳みそに刷り込まれていたので,2004年10月にいんてこるの案内を読んだとき,すぐに申し込みを決意した(ただし僕はあまり若くない院生だけれど).経済的事情で参加できなくなる可能性があったが,申し込んでおけばキャンセルはできる.申し込まなければ参加はできない.2005年3月1日,要旨を書き上げ,申し込み手続き完了.あとは流されるままモントリオールに運ばれていった.

いんてこるの開催情報を教えてくださった小泉研究室の人たちと,背中を押してくれた三中さんの「日録」に深く感謝いたします.


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