国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学高山試験地

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高山試験地概要

高山試験地概要

高山試験地は、東海国立大学機構岐阜大学高等研究院環境社会共生体研究センターの施設であり、冷温帯地域の森林および農耕地の炭素循環研究が推進されています。冷温帯地域の森林および農耕地の炭素循環研究を推進しています。その最も中心となる研究サイト(通称:高山サイト; AsiaFlux TKY)はおよそ50年生の落葉広葉樹林内に設定されており、ダケカンバ、シラカンバ、ミズナラなどが林冠層を形成し、林床はクマイザサに覆われています。当地では1993年の冬から微気象学的な手法による二酸化炭素フラックスの観測が継続されており、アジア地域では最も長期間のデータを蓄積しています。フラックス観測と並行して、バイオマス計測や土壌呼吸測定、植物の光合成・呼吸特性などの生態学的な手法により炭素循環と収支のメカニズムの解明を目指しています。2004-2008年には、岐阜大学21 世紀COEプログラム「衛星生態学創生拠点」によって、地上観測-生態系モデリング-衛星リモートセンシングの融合による陸域炭素収支評価の統合研究拠点に発展しました。また、2012年から10年程度の期間、落葉広葉樹林サイトにおいて、樹木および土壌の温暖化実験も実施しました。2004年冬には常緑針葉樹林(AsiaFlux TKC)にもタワーを建設し、2005年からフラックス観測を継続しています。2014年冬には、常緑針葉樹林において雪害が生じ、落葉低木の侵入など攪乱の影響が出始めています。

高山サイトでの炭素循環研究は、当センターの教員、ポスドク、大学院生に加えて、(独)産業技術総合研究所、筑波大学、北海道大学、(独)国立環境研究所などの研究者や学生も推進しており、共同作業や共同研究を通じた研究交流が盛んに行われています。また、本研究サイトは日本長期生態学研究ネットワーク(JaLTER:Japan Long Term Ecological Research network)にも登録され、日本中の生態系研究サイトとの連携を目指しています。

沿革

1966年 岐阜大学農学部山地開発研究施設の発足
高山市新宮 原山実験所
1976年 高山市岩井町に高山試験地庁舎が完成
1993年 流域環境研究センターの発足
2002年 流域圏科学研究センターに改組

研究事例

  • 微気象学的手法による炭素・水・エネルギー収支の観測による炭素収支の時間変動の解明
  • CO2濃度分布、炭素および酸素の安定同位体分析による炭素収支解析
  • 土壌呼吸速度の時空間分布とそのメカニズムの解明
  • 森林を構成する樹木およびササのバイオマス計測による炭素吸収量の解明
  • 植物生理生態学的研究による炭素吸収過程の理解
  • 林冠の構造と森林の水収支との関係の解明
  • 生態系モデルによる森林炭素吸収・放出過程の定量的解析
  • 衛星リモートセンシングデータの解析精度向上と山岳地域の炭素収支観測を目指した地上検証(森林葉面積指数、林冠構造、各種リモートセンシング植生指標の検証)

高山試験地での研究成果の例

日本生態学会大島賞受賞記念論文

日本生態学会誌(62巻1号)
大塚俊之(2012)”森林生態系の炭素循環 : Takayama Forestでの10年間で分かったことと、分からなかったこと(大島賞受賞者総説)”

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高山試験地の紹介記事

日本生態学会誌(63巻1号)
飯村康夫ほか(2013)”高山(たかやま)サイト(<連載1>野外研究サイトから(23))”

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高山サイトでの研究成果や参画ネットワークが関係するジャーナル特集号