センターについて

岐阜大学流域圏科学研究センターは、岐阜大学の研究施設として2002年4月に設立され、流域圏における植生系、河川水系及び土壌地盤系の多様な自然科学的事象並びに人為的事象の解明に関する学術研究を行っています。平成28年度からは流域圏保全を核とした学術研究分野「流域圏科学」を推進します。

センターには、

  • 地球温暖化時代における森林生態系の診断、賢明な利活用、短期・長期的な適応に要する知見と技術の創出に関する研究を行う森林機能研究部門、
  • 流域圏毎の水・物質動態システムを描き出し、水環境・水資源の持続的な利活用、流域管理方策へとつなげる研究を行う水物質動態研究部門
  • 地域協働推進室、水環境リーダー育成プログラム推進室、共同研究支援室

があります。

研究部門には、専任の教員に加えて、学内他部局の教員が共同研究を主たる目的として兼任教員として配置されているほかに、学外の研究者が客員教員として共同研究に取り組んでいるとともに、ポストドクトラル研究員が多数在籍しています。また、教育プログラムとして、修士及び博士課程学生を対象とした>流域水環境リーダー育成プログラムを実施しており、同育成プログラムの実施を行う組織として流域水環境リーダー育成プログラム推進室を設置しています。


センター長挨拶

Director of RBRC、Li

李 富生 (2020.4 ~)

流域圏科学研究センターは、1966年に設置された旧農学部付属の山地開発研究施設(現:高山(たかやま)試験地)に由来し、2002年3月に流域環境研究センターが発展改組されて設立されました。本センターは、植生資源研究部門、水系安全研究部門、流域情報研究部門の3部門からなり、山地から平野に至る流域圏での、自然から得られる恩恵や人間活動によって生じる環境問題と突発豪雨などの現象が人間社会へ及ぼすリスクについて研究し、成果を社会に還元することを目指しています。

本センターは流域圏科学に関連する諸大学、諸研究機関および関連コミュニティと連携を図りつつ、全国共同利用・共同研究拠点の形成を目指しています。このため、①地球温暖化が地域の森林や河川生態系の炭素循環や生物多様性にもたらす影響の解明と予測および科学的知見の提供、②地域の水資源の確保に資する生態系と水質管理技術の開発と普及、③異常気象や地震などによる災害の軽減(減災)に要する技術開発と情報提供など、流域圏が抱える環境問題に総合的に対応する「グローバルな視点を持ち、地域の環境問題に対応する環境科学」の発展に注力しています。

これまでに培ってきた、気候変動下での森林生態系炭素循環の研究(21世紀COEプログラム、地球環境再生プログラム、最先端・次世代研究開発支援プログラム)、あるいは、多国間の研究交流と若手研究者の育成(日中韓フォーサイト事業)やアジア地域の水資源問題解決に関する環境リーダー育成の大学院教育(流域水環境リーダー育成プログラム)などで得られた、1)高山試験地での学際的・国際的な生態系観測・将来変動予測研究、および、2)アジア地域の水質管理・廃水処理技術・微生物分析技術の開発・普及・人材育成の成果を基盤として、研究と教育を発展させます。

以上のように、本研究センターは基礎から応用へと研究を進めつつ、研究を通じて若手人材の育成に務めています。本センターの発展に向けて、今後とも変わらぬ御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。


岐阜大学流域圏科学研究センター憲章

流域圏科学研究センターは、岐阜大学の環境科学研究の中核として、また関連学術分野の拠点として、学際的研究分野「流域圏科学」を推進し、実践的な環境科学である「流域圏保全学」の醸成を図る。本センターでは、自然が社会へもたらす恩恵と脅威の二面性を念頭に置き、流域圏における植生系、河川水系、土壌地盤系等の多様な自然的・人為的事象を解明し、環境保全・防減災に貢献できる学術研究および技術開発を行う。また、流域圏に係わる多様な研究の深化と次世代を担う研究者の教育を通じて、地域から地球規模にいたる環境問題や社会問題に対処できる人材を育成する。

  1. 流域圏がもつ多面性を理解し、科学・社会に貢献する人材を養成する。
  2. 本学内外との連携研究を積極的に推進し、先端的・独創的な研究成果を創出する。
  3. 新しい研究分野の創生や次世代の研究に役立つ手法を提案する。
  4. 細分化された学問分野を広い視野に基づいて統合し、学際的問題を総合的に解決する。
  5. 地域に根ざした研究を基礎として、環境科学と防減災科学の発展に努める。
  6. 研究成果を地域社会へ還元するとともに、国内外に広く情報を発信する。
  7. 諸外国・地域との研究および交流を行い、国際化と地域貢献を推進する。

岐阜大学流域圏科学研究センター基本戦略

1.研究基本戦略

  1. 学際的な環境科学である「流域圏科学」を発展させ、実践的な環境科学である「流域圏保全学」の醸成を図る。
  2. 流域圏を構成する森林生態、農地生態、河川生態、土壌地盤系等の研究を通じ、多面的・多角的に流域圏を理解し、学際的・業際的問題を総合的に解決する。
  3. 社会にとって安全・安心な流域圏環境を実現する科学的知見の獲得と情報発信に努め、環境保全や防減災に貢献する。

2.教育基本戦略

  1. 学部や大学院と連携した教育活動を推進し、学問分野に捉われず、流域圏の多面性を理解した広い視野を持つ人材を養成する。
  2. 諸外国・地域との研究交流を積極的に行い、留学生の受け入れと学生の派遣を推進する。
  3. 本学内外の研究教育機関と連携し、積極的に若手研究者を育成する。

3.運営基本戦略

  1. 上記基本戦略を円滑に推進するために必要な人材の確保ならびに資金の獲得に努める。
  2. 各種セミナー、講演会、シンポジウム、地域との共同研究等を通じて、研究成果を広く社会に発信する。

本センターの歴史

  • 1966 年 岐阜大学農学部付属山地開発研究施設
  • 1993 年 岐阜大学流域環境研究センター
    センター長
    1993年度~  西村 格
    1997年度~  湯浅 晶
    1999年度~  菊池 多賀夫
    2001年度   湯浅 晶
  • 2002 年 岐阜大学流域圏科学研究センター
    センター長
    2002年度~  杉戸 真太
    2006年度~  秋山 侃
    2008年度~  藤田 裕一郎
    2012年度~  景山 幸二
    2016年度~  粟屋 善雄
    2020年度~  李 富生
流域圏科学研究センターは、自然がもたらす恩恵と脅威の2面性を念頭に置き、山地森林の集水域から氾濫原と農耕地・都市域に至る流域圏における植生系・河川水系・土壌地盤系の多様な自然科学的事象と人為的事象を解明するための学術研究を行うことを目的とする。
特に、流域圏における豊かな淡水資源と植生資源の保全・管理持続的利用、植生系と水系の多面的機能の解明と適正制御、健全な水循環の回復をめざした学術研究を行い、一方で、気象異変や地盤変動による自然災害や産業・都市活動起因の人為的汚染による被害を最小限に制して流域圏の安全性の向上を計る為の学術研究をおこなうことを目的として、農学・工学等の多分野にわたる融合的研究を行う。
(新設に際しての書類より)