津田智准教授の最終講義ならびに第6回流域圏保全研究推進セミナー開催報告

 岐阜大学流域圏科学研究センターは、流域環境を扱う国内初の組織としてスタートし、質の高い研究と教育支援を推進することで本学の環境科学研究教育を牽引する役割を担ってきました。近年、環境科学の分野ではSDGs(持続可能な開発目標)の達成や脱炭素社会の実現などグローバルな枠組みでの取り組みが求められています。また、行動様式・生活様式の多様化や生活水準の高度化に伴い、地域共通・世界共通の新たな課題への対処が今後必要になると考えられます。当センターは、流域圏の現状診断と管理支援および変動予測に基づく持続的な自然資源の利用を実現し、安全で快適な流域環境・生活環境を形成するため、国内・国際研究機関やネットワークと連携協力して「流域圏科学」を推進しています。「第6回流域圏保全研究推進セミナー」は、当センターの活動を多くのみなさまに認知していただくとともに、「流域圏科学」の今後の発展について議論することを目的として、令和4年3月2日(水)に柳戸キャンパスで開催されました。詳細はこちら(https://www.green.gifu-u.ac.jp/symposium6-jp/)。

 本セミナーは昨年度に引き続き、新型コロナウィルス感染防止対策のためオンライン開催とし、ほとんどの発表者・参加者はリモートでご参加いただきました。開会は森脇久隆岐阜大学学長と李富生センター長の挨拶で始まり、続いて当センターで長年にわたり教育研究活動にご尽力され、本年度で退職される津田智准教授より「タネ 火種 めしのたね」というタイトルで最終講義が開講されました。次に、当センター各部門ならびに地域協働推進室の研究報告、センターが支援している若手研究者(博士課程学生、研究員)3名の成果報告が実施されました。続いて、高山試験地を利用した共同研究を長年実施されてきた産業技術総合研究所の村山昌平さんには1993年以来の長期にわたる研究の成果をご講演いただきました。その後、共同研究課題3件の今年度の成果、および高山試験地、微生物分析室、水質分析室、岐阜大学流域水環境リーダー育成プログラム(BWEL)の活動報告を行いました。最後に、王志剛副学長より閉会の挨拶をいただきました。

 セミナー参加者は、学外からの参加者26名を含む計64名(内、留学生4名)であり、活発な意見交換が実施されました。当センターでは今後も流域圏保全研究推進セミナーを毎年開催することにより、関連研究コミュニティとの共同研究を通じて基礎から応用に至る「流域圏科学」の体系化を図るとともに、地域社会との協働体制の促進により環境問題への適応と解決に取り組む実践的な「流域圏保全学」の醸成を推進していくこととしています。