第5回流域圏保全研究推進セミナー&景山教授退職記念講演会開催報告

岐阜大学流域圏科学研究センターでは、流域圏の現状診断と管理支援および変動予測に基づいて、持続的な自然資源の利用を実現する実践的な『流域圏科学』、流域圏科学の知見に基づいて自然資源の持続可能な利用を目指す『流域圏保全学』を国内外の大学や研究機関、観測・研究ネットワークの支持を受けながら推進してきました。当センターでは、2016年度より、流域圏科学・流域圏保全学に関連する研究テーマとして、(1)気象・水・物質循環システムと人間活動影響に関する研究、(2)生態系の動態と機能の解明と予測に関する研究、(3)流域圏の安全・リスク診断と、それに資する環境・社会情報分析に関する研究、(4)流域資源・エネルギーの保全・活用に関する研究、(5)その他、流域圏科学の発展、流域圏保全に資する研究の5つのテーマで共同研究の公募を実施してきました。「第5回流域圏保全研究推進セミナー」は、これまで実施してきた共同研究や個々の研究を総括し、流域圏科学、流域圏保全学を今後どのように発展させていくかについて議論することを目的として、令和3年3月9日(火)に柳戸キャンパスで開催しました。

 本セミナーは、新型コロナウィルス感染防止対策のため、Webexによるオンライン会議による参加を基本とし、ほとんどの発表者・参加者は、リモートでご参加いただきました。開会は、森脇学長と李センター長の挨拶で始まり、続いて本年度で退職される景山幸二教授に「卵菌とともに40余年」というタイトルで退職記念講演を実施していただきました。景山幸二教授による退職記念講演に続き、本センター専任教員、兼務教員、客員教授、特任教授による22件の口頭発表が実施されました。総合討論の時間を挟み、高山試験地と共同研究支援室からの報告があり、最後に、王副学長より閉会の挨拶をいただきました。セミナー参加者は、学外からの参加者9名を含む計54名(内、留学生4名)であり、流域圏科学,流域圏保全学の今後について活発な意見交換が実施されました。今後も同センターでは、関連研究コミュニティと共同研究を推進し、流域圏保全研究推進セミナーを毎年開催することにより,当該分野の醸成を促進することとしています。


プログラム
09:00 – 09:10  開会挨拶: 森脇久隆 岐阜大学学長、李富生 流域圏科学研究センター長
09:10 – 10:00  退職記念講演: 景山幸二 教授 「卵菌とともに40余年」
10:00 – 10:10  - 休憩 -
10:10 – 12:10  口頭発表: 【森林機能研究部門】
        粟屋善雄「リモートセンシングで観察した大八賀川流域の森林」
        大塚俊之「森林の炭素循環と窒素循環-最近の成果と今後の研究」
        村岡裕由「森林生態系機能に関する研究、および生態系・生物多様性観測ネットワーク活動」
        石田 仁「森林の天然更新技術の開発」
        斎藤 琢「日本および東アジアにおける森林の生態系機能に関する研究」
        日恵野綾香「森林や河川に生息する卵菌類の生態研究」
        永井 信「大八賀川流域における人・森林・気象災害の関わり」
        口頭発表:【水物質動態研究部門】
        杉戸真太「強震動予測に地域地盤特性を取り入れた広域地震被害想定」
12:10 – 13:10  - 休憩 -
13:10 – 15:10  口頭発表:【水物質動態研究部門】
        玉川一郎「接地境界層での大気の光学的揺らぎ」
        李 富生「水質安全と水環境保全に関する研究の展開」
        小嶋 智「長良川における土砂生産の特徴:特に後背地の地質に関連して」
        能島暢呂「地震ハザードプロファイルの試作 ~地震ハザード情報の理解促進のために~」
        久世益充「地震動の特徴抽出に基づく分析・分類に関する検討」
        児島利治「流域圏の水文現象の解明と評価に関する研究」
        原田守啓「森・水・物質循環システムの統合研究拠点を基盤とした研究展開」
15:10 – 15:20  - 休憩 -
15:20 – 16:05  口頭発表:【水物質動態研究部門】
        廣岡佳弥子「微生物電気化学を用いた次世代型廃水処理システムの開発」
        吉野 純「令和元年台風19号による豪雨に関する擬似温暖化進路アンサンブル実験」
        後藤幸造「養豚廃水処理プロセスの改良」
16:05 – 16:20  口頭発表:【地域協働推進室】
        小山真紀「関市武儀地域における地区防災計画作成支援」
16:20 – 16:50  口頭発表:【流域水環境リーダー育成プログラム推進室】
        魏 永芬「リモートセンシングによる乾燥地域の環境評価」
        石黒 泰「浄化槽の運転条件が処理水質および細菌群集に与える影響」
16:50 – 17:10  総合討論
17:10 – 17:20  高山試験地報告・共同研究支援室報告
17:20 – 17:25  閉会挨拶:王志剛 岐阜大学副学長、児島利治 セミナー実行委員長