大河川における多自然川づくりQ&A 5-2 高水敷掘削の解説/ウォッシュロード濃度計測と再堆積予測

投稿者: | 2021-06-18

国交省水国土保全局河川環境課から刊行されています
大河川における多自然川づくり―Q&A形式で理解を深める―
https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kankyo/tashizen/qa.html)の
『Q5-2 高水敷掘削の掘削高さを設定する際の留意点を教えて下さい。』について、ウェビナーで解説をしました。
サマリーと関連資料をお示しします。 (原田)

①河川ごと、セグメントごとの河道特性を土砂という観点で理解しておくことは河道管理をする上で、非常に有益(治水、環境、維持管理すべての面において)(関連Q3-1)
②河道掘削した際に堆積する土砂は、同じくらいの高さのところには掘削したものと同じ粒度分布の土砂が堆積する可能性が高い
③掘削する高さ(低水路の水位に対する比高)で再堆積速度は変わる。一般的には低めに掘削したほうが堆積速度が小さい(長持ち)
④自然堤防帯で高水敷掘削した際に砂は河床から巻き上がった浮遊砂が堆積するが、ウォッシュロードは河川ごとに濃度がかなり違うので高水流量観測時の採水によって把握しておくとよい
⑤流量とウォッシュロード濃度の関係を把握しておけば、堆積速度の予測はかなり高精度で可能になった
⑥過去の掘削後のレスポンス(掘削後の再堆積速度、堆積した土砂の内容)を把握しておくことが最善の策
⑦樹木伐採については、地域によってヤナギ・ハリエンジュ・タケが樹林化の主体となるが、ただ伐採するだけでは再繁茂によって余計悪化することがあり、再繁茂抑制に関わる最新の知見を参考に(関連Q8-1)
⇒これらを踏まえて計画的かつ順応的な掘削・伐採の計画へ
⇒さらなる提案として、現況河道の把握と流下能力のチェックを起点として、整備計画河道にリセットするのではなくその河川における河道内景観の多様性が適度に維持されるような「流下能力と河川環境の維持向上の手段としての伐採・掘削」へと高めたい

【資料PDF】

大河川多自然川づくりウェビナー#1 講演資料

洪水時のウォッシュロード濃度の簡易計測に基づく土砂再堆積予測(河川技術論文集2020)